ごめんね青春! 第9話
とにもかくにも素晴らしくて、興奮が全く鎮まらなくて、全然まとまらないのにとりあえずパソコンの前に向かう。言いたいことが何にも上手く書けない気がするのに、とりあえず書こうとはしてみる。
実は今週一番驚いたのは、祐子が火事の時効について喋り始めた時に、平助の父・平太が「今さら蒸し返すな」と言い、その後「お互い子どものことになると大変だな」と言ったところだった。「お互い」というその一言で、あの火事に関して平助が何か関連していることを、父は知っているのだとわかった。
我々視聴者は、平助目線でしかストーリーを知らない。それは、あの火事の真相を平助と共に共有していることである半面、平助が知らないことを我々も知らないということである。当たり前のことだが、それがなかなかの衝撃だった。9話にしてここまでの衝撃が来るとは思っていなかった。
母は平助の異変に気付いていた。父もそれを聞いている。どうやら、サトシも感付いたようだ。今までひたすらエロ住職だった父が、初めて平助に真正面から言葉をぶつける。
「お前はもう高校生じゃない、教師なんだ。どうするかは自分で決めろ」
母親のことも、そしておそらく火事のことも。
そしてついに、本当のことを告げる平助。今まで誰にも言わず、ひた隠しにしてきた事実を初めて告白したのはりさだった。
ここの錦戸亮の演技が素晴らしかった。言いづらいことを言う時の矢継ぎ早な口調。間や抑揚まで何もかもがリアル。しかもやり過ぎていない。
それを受けてのりさの、事実を受け入れられない感じも迫真の演技だった。そりゃこうなるわ。すぐには受け入れられないわ。自分の好きな人、運命の人が、自分の家庭を壊した人だったなんて。そしてその人からこのタイミングで好きって言われるなんて。しかも文化祭前日に。なんちゅう運命の人だ。
加えて、「放火魔が教師やってるってどうなんですか?」という直球のセリフも良かった。そう、視聴者がずっと感じていたこと、ずっと本人にぶつけたかった言葉はこれなのだ。でも誰もぶつけられない。それをりさが最初に言ってくれてすっきりした。
平助もそれはわかっている。いつまでも放火魔が教師を続けていられるわけがない。
だから平助は、合同文化祭を成功させた後、全てを告白し辞めるつもりなのだ。
火事が起きたあの日から、平助には自分の人生などなくて、ただ償いのためだけに生きてきた。
合同文化祭をすることこそが自分の罪を償うことだと信じて、それだけのために東高の先生になって。
今、平助の目の前にいる聖駿高校の生徒達のような青春を、彼は過ごすことができなかった。
りさは、そんな平助を、許してはいないが受け入れた。
彼の人生を彼の手に取り戻してあげることができるのは、りさだけなのかもしれない。
本当に本当に面白い。
私はクドカン信者ではない。なんでもかんでも面白いというつもりはないし、クドカンの作品も全部見ている訳ではない。しかし、クドカンの作品がこんなに魅力的で、好きだと感じるのは、やはり登場人物一人ひとりに隅々までスポットをあてることが出来る愛情があってこそのものだろうと思う。
平助の罪は、決して消えるわけではない。
けれど、どうか登場人物全員が幸せな結末を迎えられる最終回であってほしいと思う。
そこまで思うことが出来るのは、今までの9回で、丁寧に描いてきたものがあるからだ。