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重箱のすみ

こんな世界で戦う7人のことを書きたくて

ごめんね青春! 最終回

今期一番楽しかったドラマが終わってしまった。

本当は、何度も見返して、丁寧に行間を拾ってから書きたい。だが、見終わった直後のテンションの高ぶりだけで勢いで感想を書いてみようと思う。何回も見返した後の感想や解釈は後からでも書けるが、初見の感想は今しか書けないから。

 

正直な感想としては、「あと10分だけでも拡大版でやらせてあげられればよかったのに」というところだった。いくらスピード感あるクドカンのドラマと言っても、サトシと本音で語り合うシーン、序盤すぎだろう。もう少しアイドリングがあってから見たかった。全体的に、あと10分だけでも時間があれば、諸々もう少し丁寧に描けたんじゃないかと思ってしまう。まぁそれは、DVDで見れるであろうディレクターズカット版を楽しみにすることとする。

 

平助が祐子に本当のことを告白するシーンで、同時刻に父同士が話しているという構成の妙が素晴らしかった。こちらには平助がどうやって告げたのかわからない。それを聞いた祐子が、平助にどれだけの思いをぶつけたかもわからない。しかし、それは父同士の対話で、代理的に、比喩的に表現される。

お互いの父も苦しんでいた。被害者側と加害者側という違いはあれど、真実を知るのが怖かった。真実から逃げてしまった。そのせいで、平助と同じように、彼らも14年間苦しむこととなってしまった。平助の父のことを、「自分の息子を信じていたから事実を追求しなかったんだ」というような美談に仕立て上げるのではないところがいい。結局、この話に登場する人物誰もが、14年前の事件に対して、真摯に向き合えなかったところから、様々なすれ違いが生まれ、どんどんこじれていってしまったということがよくわかるものだった。

 

平助は、ミスター聖駿に選ばれた舞台で、自らの罪を、ついに正直に告白する。この時の、シスターの追及。

「名乗り出ようとは思わなかったんですか」

「それなら、どうして言えなかったんですか」

これはまさに、1話で平助が母に自分の罪を告白する時に、母から言われた言葉であった。

「どうして名乗り出なかったの」

「フラれた腹いせに放火したって思われたくなかったの?恥をかくのが怖かったの?……平ちゃん?」

平助はその時、「ごめん。いつか本当のこと、話そうと思ってる…」とだけ告げて寝たふりをしてしまう。初回で平助が母にも言えなかったその答えを、ついに最終回で明かす。

それは、「学校が好きだから」だった。

冴えない生徒だったけれども、それでも学校が好きだったから。平助はそれを壊してしまった罪を人一倍感じ、合同文化祭を無事に成功させることが自分の務めだと考え、そのためだけに14年間を捧げてきた。

 

ここからが、想像の斜め上だった。

生徒も、大人たちも、平助のことを赦すのだった。

生徒達は、ごく自然に、14年前のことをもう過去のこととして捉え、今の平助がいなければ自分達もいなかったという。それは無理している感じではなく、本心からそう思っているのだろう。純粋だからこそすんなりと赦せる。というか、赦すという感覚すらもうあまりないのかもしれない。

それに対して、大人達は、素直にそうとは言えない。

平助の花火が原因だという確率は、0.01%。限りなくゼロに近い。でもゼロとは言えない。そこで大人達は、様々な理由をつけて平助だけが悪いわけではないと口々に言う。しかし、放火の根本の原因が分からない以上、平助に絶対教師辞めるなとも言いづらい…。もしかしたら本当に犯人かもしれないという可能性も、まだ残っている訳だし……。

平助は、その空気を敏感に感じ取り、教師を辞めるという決断を変えなかった。

ただし、また違った形で、これからも三島の人達と、聖駿高校の生徒達と関わっていく。

彼が青春から解放され、前に進んだことで、登場人物全ての時間が新たに動き出したと感じられるのが良かった。

 

最後に一つだけ謎が残った。

結局、あの火事の原因はなんだったのか。平助が犯人ではないとすれば、真犯人は誰なのか。その答えは劇中では明かされなかったし、登場人物誰も知らない。そこを謎にするなんて、ちょっとずるいぞ!…と、思わなくもない。少しだけもやもやする。

だが、もしかしたら…。

その真犯人も、未だに本当のことを告白できず、苦しんでいるかもしれない。今までの平助のように。もしそういう人物がいたとしたら、その人を救えるのは、2代目カバさんを受け継いだ平助だけだ。

そんな解釈の余地も残されているのかもしれない、と思うようになった。

 

 

最後に少しだけ。

最終回にして言うことでもないのだが、私は錦戸亮が本当にタイプだ。ただひたすらタイプだ。大好きな顔だ。キュンキュンする。彼の出演作品を全て見ている訳でもないし、関ジャニのこともよく知らない。だけど、この世で一番好きな顔はと訊かれたら、迷うことなく錦戸亮と答える。それくらい好きだ。

そんな私が言っても説得力あるかどうかわからないが、やはりこのドラマは錦戸亮でなければできなかったと思うのだ。

頼りなさそうに見えるけれども、決めるところはビシッと決める。

仕事の時と、母親に語る時に甘えている表情が全く違う。

笑顔でいながらにして、どこか憂いを感じさせるような、過去に何かあったと感じさせるような表情も、わざとらしくならずに絶妙だった。

「平助が犯人ではない可能性」というのは、最終回にしてようやく明かされる。1話でたとえ視聴者が「ロケット花火だけで、あんなに遠い距離にさすがに火は燃え移らないんじゃない…?」と思っても(大半の視聴者はこの可能性に気付いていただろう)、物語としては平助が犯人である前提で進んでいく。

取り返しのつかないことをしてしまったという事実を抱えながら教師をしているという内容に、理解や感情移入ができず、早々に視聴を脱落してしまった人もいるかもしれない。けれど錦戸亮がやることで、その人数は最小限に抑えられたのではないかと勝手に思っている。

普通、こんな主人公に感情移入はできない。それでも多くの視聴者を引き付けることができたのは、平助の苦悩する姿に一緒に苦悩し、彼の決断を見届けたい、応援したいと思わせられたからではないだろうか。

それは、飾らずに、等身大で、でも全力で平助をやり遂げた、錦戸亮の魅力と引力があってのことだと思っている。

平ちゃん、お疲れ様。ありがとう。

 

あっという間の3ヶ月だった。

私自身、このドラマが始まる前に、さほど注目していたわけではなかった。とりあえず1話を見てみよう、とチャンネルを合わせただけだった。けれども、その1話で完全に心を掴まれてしまった。

最初にぐっと来たのは、平助がとんこーの生徒達に語るところだった。

「モテない言い訳してる時間はもったいないぞ!」

その熱量にも素晴らしく胸を撃たれたのだが、さらに心を奪われたポイントがあった。それが、平助が「校則が何だ!受験が何だ!」と言っている時に、海老沢の心情を描いているところだった。

海老沢の脳内で、平助の言葉と、あまりんに言われた言葉がだぶる。そして、お試し共学に賛成かどうかを多数決で募る時に、海老沢のアップのカットにして、彼の心情を丁寧にクローズアップする。平助の、「よし、目を開けろ」という言葉に従って海老沢が目を開けると、全員が手を上げていた…というシーン。

このカット割りが絶妙だと思ったのだ。視聴者が自然に感情移入でき、登場人物と同じ目線でストーリーの行く末を楽しむ感覚。本当に脚本を丁寧に理解し、丁寧に表現しようとしなければ出来ないことだと思ったのだ。ここから、このドラマはとんでもないことになるかもしれないという予感が生まれた。

その直感を信じてよかった。全部見てよかった。

全てのスタッフ、キャストにありがとう。

 

 

 

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日曜劇場 「ごめんね青春!」
 

 

 

言ったじゃないか / CloveR 【通常盤】

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