重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

「好き」のグラデーション

前回、「なぜキスログの更新頻度が減ってしまったのか考える」という謎企画を行ったのですが、その際に一点、書こうと思っていたけれども直前で外した内容がありました。自分としては、キスログに対する思いという点では他の項目と変わらなかったのですが、ちょっとメインの書きたい内容とズレてしまったような気がしたので。そういうわけで、今回は、その外した項目を独立して書いてみようかと思います。気持ち的には前回の続編です。

mgmcnlife.hatenablog.com

 

根拠も証拠もなく、私が、こういう理由もあり得ないことはないかなって勝手に感じているだけなのですが、なんとなく「この時代に『ジャニーズの価値』を守るため」ということもあるのではないかなぁと思っています。

前回も書きましたが、最近はSNSが急速に普及して、芸能人もテレビや雑誌のメディアなどを通さなくても、自分自身で情報発信ができるようになりました。結果、一般の人達にとっては、芸能人が身近に感じられるようになったと思います。それは、いい点も悪い点もあるのだと思います。一例を挙げると、いい点は、親しみやすく感じられて、その芸能人に対して好意的な気持ちを持つ人が増えるということ。ただ、悪い点としては、一般人との距離が近くなりすぎてしまうこと。軽い気持ちでツイートしたことが拡大解釈されて炎上したり、ファンとやりとりしていてひょんなことから言い合いになってしまうようなこともあるかもしれません。*1

そんな時代に、ジャニーズの皆様のブログは有料のwebページに登録しないと見ることができない。更新する際にも、どの程度かはわかりませんが事務所のスタッフさんの目も入っているのでしょう。一般人と気軽に触れ合うことはできないけれど、そうすることで守っている面も大きいのだと思います。有料で登録している方々は、そもそもジャニーズに対して好意的な気持ちを持っている人がほとんどのはずです。ネットで、芸能ニュースにいちいちかみつき、誰でもかれでも叩いてそれ自体が趣味のようになっているような人って時々いると思いますが、お金を払わないと見れないということは、そういう人達の入口をふさいでいますよね。そして、前回の「格」の話にも繋がってくるのですが、この時代に気軽に触れ合える存在ではないということで、タレントさんの価値を高める効果もあるのだと思います。キスログの更新頻度が減ってしまったのも、格をあげること、そして「これからはここじゃなくてもっとメディアで発信するから」という宣言のようにも感じられます。

ただ、こうやってタレントを守るという一面が強すぎて、ご新規さんが入りづらい印象を持ってしまうのではないかと思うのです。これはもういい年してこちらの世界にお邪魔することになった新規の感覚なんですけれども、社会人になってからジャニーズの世界を知ろうと思ったら、相当ハードルが高いように感じられてしまうんです。「好き」という度合いのグラデーションを、許してくれない感じがするんです。

例えば、ドラマを見ていて、ちょっと気になる俳優さんがいたとします。その人のことをもっと知りたいと思った場合、 今はネットで検索することが第一歩だと思います。すると、ドラマの公式Twitterアカウントが出てきて、撮影の裏話だったり、オフショットを見ることができる

→そこから、その俳優さんのTwitterinstagramアメーバブログとかを見ることができる

→読んでいく頻度が上がるにつれ、その俳優さんのプライベートや交友関係が垣間見え、どんな人なのかなんとなくわかってくる(ここまで全部無料)

→もっと好きになったらその人が載っている雑誌を買ってみる

→そして、ファンクラブに入ることを決意する、みたいな。

普通、なんだかよくわからないものに、いきなりお金を払おうとは思わないじゃないですか。お金を出そうと思うまでに、徐々に階段を上がるようにして、色んなことを知っていって、そこで初めて応援しようと決める場合が多いと思います。その段階を、公式で用意してくれているというのはありがたい。「好き」にも色々な度合いがあって、仮にファンクラブに入っている人を100%とすると、「ちょっと気になる(20%の好き)」とか、「毎日ブログを見てるけどファンクラブに入るほどではない、でも好きだよ(50%の好き)」とか、そういう、「好き」のグラデーションを公式で許容してくれている感じがするんですよね。

一方、ジャニーズの皆様の場合は、さきほど述べたように、公式で提供してくれている無料の段階がほとんどない。ドラマに出ている場合でも、その人の写真が載っているのはHPだけで、SNSではNG。制作発表などの会見がニュースになった場合でも、ネット上で公開される記事にジャニーズの皆様の写真はアップされない。CDジャケットや雑誌の表紙ですら「No image」ばかり。iTunesに楽曲は配信されていないから手軽に買えないし、そして、ブログは有料登録しないと見れない。そうすると、せっかく興味を持っても、なかなかその人を知ることができないんじゃないかと思います。試しに雑誌を立ち読みしてみればいいじゃんというご意見もあるでしょうが、明らかに学生じゃない外見で、本屋さんでアイドルが表紙の雑誌を手に取るのも、最初は結構勇気がいりますよね(笑)。私はもう何とも思わなくなっちゃいましたが(笑)。

それだけじゃなく、雑誌だけで言えばこんなデータが。

toriaezutori.com

出版不況の中でも、特に近年は雑誌の売上の落ち込みが激しいという話。これは純粋に売り上げだけのデータなので、その年代において雑誌の購買層がどれだけいるのかという割合はわかりませんが*2、もう最近は雑誌でできることがネットにとって代わられてしまっているという状況。だからそもそも、ジャニーズの中に気になる人ができたからといって、雑誌を手にとってみようという感覚にならないかもしれない。

だから、私のイメージとしては、他の芸能人の皆様が、階段を上がるように「好き」のグラデーションが許容されているのに対して、ジャニーズの皆様の場合は、その世界に行く前に大きなハードルが用意されているように感じる。文字通り「その世界に飛び込む」ような気持ちで、お金をはらってではないと知ることができない。好きのグラデーションではなく、ゼロか100か。いやあるいは、ゼロか、100か、マイナス100(←強烈なアンチジャニーズ)って感じ(笑)。

例えばこれが学生さんだったら、ある日学校で「実はちょっと私…最近キスマイが気になってて……」とぼそぼそ言った時点で「うそ!!!早く言ってよ!!!雑誌貸すよ!!!一緒にコンサートDVD見よう!!!」みたいな優しいお友達が周りにいる可能性もあるだろうけど(笑)、社会人には結構厳しいですよね。正直ちょっとキスマイのことが気になってる、でもドラマのツイッターアカウントには出てこないし、ネットに公式の写真も上がっていないし、どうやらブログもやってないらしい(ジャニーズwebの存在も知らない、教えてくれるお友達も周りにいない)。そうなってしまうと、せっかくの「10%の好き」が、増幅されるチャンスがないまましぼんでいってしまうようで、実際そういうケースもいっぱいあるんじゃないかなぁと思います。顕在化していないだけで。私だって、こっち側に来れたのはいろんな偶然が重なったからで、結構奇跡だと思ってる。

 

色々書いてきたけれど、もちろん、ジャニーズ様がこの「好きのグラデーション」を作らないのは、おそらく意図的な面もあるんだろうとは思います。お金を払った人じゃないと見れない閉鎖的な環境だからこそ、ある種の熱狂的、狂信的なパワーを生み出すことができるという利点もあるのだろうしね。それに、そうやって高いハードルを乗り越えてくれた人達だけでも興行として十分成り立っているから、わざわざとやかく言うことではないですよね。けれども、私はやっぱり、メンバーがキスログで「今週のキスマイBUSAIKU!?はすごいことになってますよー!!」とか、「この撮影は大変だったー」「面白いから絶対見てね!」って告知しているのを読むたび、なんだか複雑な気持ちになるんですよね。多分、わざわざ登録してキスログを見ている人達は、「だいぶ好き」な人達だから、言われなくても見るというか。見るかどうか微妙な人達、そういう層には彼らの言葉が届いていないもどかしさ。

そんな訳で、やっとキスログの更新頻度の話に戻るんですけど*3、わざわざその高いハードルを飛び越えて新しく入ってきてくれた人達なんだから、それを満足させられるだけの更新にして頂きたいし。でももし、様々な事情で難しいなら、キスログは無料開放してもいいんじゃないかなぁ、なんて思ってしまいます。今までジャニーズの世界に無縁だった人をどんどん取り込んでいるキスマイだからこそ、そういう「好きのグラデーション」を許容してくれる環境がもう少し整えばいいのになぁ。キスログが無理でも、何かしらの形で、もう少し階段を作ってくれればいいなぁ、と漠然と感じています。

 

*1:もちろん、ここで述べた良い点も悪い点もほんの一例で、他にも色々あると思います

*2:つまり、人口が減ってるからどうやっても売り上げは落ちるんじゃないかという

*3:戻るの遅すぎ