重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

君のすべてを抱きしめるから ―Travis Japan ぷれぜんと の雑感―

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3月26日。ずーっとずっと楽しみにしていた、Travis Japan横浜アリーナ単独コンサートに昼夜お邪魔させて頂きました。
今回のチケット、もともと、多くの友人に協力してもらったのに全滅で、絶望からのスタートという感じだったのですが、多くの方にお気遣いいただいて、結果どちらも行けるようになり、本当に感謝しております。本当にありがとうございました。
すごく楽しかったし、Travis Japanにいっぱいいっぱい愛をもらって、本当に幸せな時間を過ごさせてもらいました。
……そのうえで、ちょっと一つだけ、自分の頭と心を整理しておきたいと思ったことがあったので、書いてみます。
初めに言っておきたいのが、全くもって、トラジャ本人達に対して、文句やダメ出しをしたいわけでありません。細心の注意を払って書きたいと思いますが、もしそう感じられた方がいらっしゃったら申し訳ありません。
本人達に対して文句を言うわけではなく、ファンとしての心構えみたいなものについて書きたいと思っています。一人の平凡な新規ファンが、気持ちの整理をするためにどうしたか。それが今回のテーマで、こんなことを考えていた私の経緯を書くことで、もし誰か同じような思いの方の気持ちも整理できればなと思った次第です。


今回の公演が終わった時に、私はどうにも複雑な心境になってしまっていました。
本当に楽しかった、本当に幸せな時間だった。キラキラして、ワクワクして、エンターテインメントの魅力を存分に味わわせてもらった。それは本当に本当。
なのに、心の中に引っかかるものはなんなのだろう。
1つ1つのパフォーマンスは素晴らしいのに、なんだかファンサ曲が多くて、がっつり踊る曲が少なかったような気がしてしまう。
いろいろな雑誌での言葉を読むたびに、彼らは去年の横アリのことを相当反省していて、「アリーナサイズで7人だけコンサートを見せる時の苦労」があるということも垣間見えていた。例えばその一つとして、去年は全員でスタンドのトロッコに乗ってしまったから、アリーナがスカスカになってしまったということを言っていた。
だから今回はそこに対して、相当気を使っていたということは本当によくわかった。例えばファンサ曲をライブの前半と後半に分けて、どこの席にいても置いてけぼりになる観客が出ないように考えられていた。けれどその分、ちょっと長くなってしまったんじゃないかな…とか。
そんな中で、3/27に発売されたステージナビを読んでみると(当然取材時点ではまだコンサートをする前)、滝沢プロデューサーに「トラビスは踊りすぎなくても、いいんじゃない?歌うだけの曲があってもいいんじゃない?」と言われたということが書いてあって、ああ…そっか……なんて思ってしまったり。

 

でも、少し気持ちを落ち着けて、冷静に考えてみると、私がこんなに複雑な気持ちなのは、ファンサ曲の問題ではないのかもしれない。
ちょっと多いかなとも思ってしまったのだけれど、数えてみると、全体で33曲(アンコール含め)の中で9曲だけだ。それも、メドレーみたいな感じで使っていた曲も多いから、全体としてそこまで長いわけではない。
それに、彼らが「そんなに踊らなくてもいい」と言われたのは、今回が初めてではない。前回のサマパラでも、スタッフさんからそういう意見があったことを雑誌で明かしている。確かしめちゃんが「踊らなくてもいいから歌え、なんて初めて言われたよね」と言っていた。サマパラでも、例えば「Wait for you」のバラードバージョンで歌うところも素晴らしかったし、今回のまつくプロデュースの「街」も、それぞれの個性にあった歌割りが決められているんじゃないかと感じられて、なんともドラマティックで美しかった。
だから、踊る曲を極端に減らしたわけでもないし、歌だけで魅せる曲もそれ特有の魅力があったし、私はおそらくそこに対して納得してないわけではない。

 

じゃあ、私は今回、何に期待していたんだろう。それでセトリを見返してみて、今回一番好きだったパフォーマンスが、「愛のかたまり」だったことに気が付いた。
去年の横アリ以来、一年越しに披露してくれた楽曲。ずっとメインステージで踊っていた去年とまた演出を変え、曲中に踊りながらメインステージからセンターステージへ。しかも、センステの回転するステージに一人ずつ乗っていく。そのあまりに統率されたパフォーマンスは、まるで絵画を見ているかのような美しさだった。思わず鳥肌が立ってしまうほど。
そうか、私が彼らに求めていたのは、クラシカルなジャニーズ像、舞台のような雰囲気、そんなパフォーマンス。
本人達を責める気など一切ないし、本人達に悪いところなど一つもない。
ただ、「自分の求めるものとちょっと違う」と感じてしまった時、
ファンは、どうすればいいんだろうね。

 

もともと、私がTravis Japanにちゃんと出会ったのは、2017年のジャニーズJr.祭り追加公演の、さいたまスーパーアリーナでした。
その時は、「Travis Japanってダンスが上手なグループなんだよね」程度の知識しかなかった。たくさんのグループが入れ替わり立ち代わりパフォーマンスを披露する中で、彼らが登場した時の雰囲気の変わりようは今でも覚えている。美しく切なく、重厚感のあるパフォーマンス。さいたまスーパーアリーナにいるのに、帝国劇場にいるかのような空気になった。私は一瞬で彼らに夢中になりました。
その後、2017年9月のジャニーズアイランド。6人になったばかりの彼ら。色々と複雑な夏を乗り越えてきたことは、レポで見るだけの知識しかなかった。何も知らない私が、彼らのことを好きって言えるのかな。そんな資格あるのかな。そう思いながら入って、その時に初めてIt’s BADを生で見ました。これはたまアリの衝撃をさらに超えてくるものでした。派手な衣装でもない、派手なセットもない。それなのに、2階のA席に座っている私のところまで、迫力がダイレクトに伝わってくる。
終演後、隣の席に座っていた友人に、「ねえ、トラジャに対してだけ明らかに拍手が大きかったのバレてるよ(笑)」と言われ、私はそこで、自分が彼らへの思いを一層強くしたことを自覚したのでした。
そう、そういう経緯があったので、私が彼らに求めていたのはそういうパフォーマンスで。だから今回、It’s BADがセトリ落ちしてしまったこととか、あとはDance With Meを踊らずに、ファンサ曲になってしまったのも、自分でも驚くほどにショックだったのだなと気付いたのでした。DWM、トラジャと一緒に踊りたかったし、あの、一曲の中にミュージカルのようなストーリーがあるパフォーマンス、しっかりと披露してほしかったな……。
今まで、「(新規なので)わからないことが多い」ということに戸惑ったことはあるのだけど、「期待してたものとちょっと違う」ということはなかったのだなぁと思い知らされ、そんな感情になるとは思っていなかったので、自分にびっくりしてしまったのだった。

 

ただ、もちろん、彼らが今回、言うなれば「舞台っぽい曲」を少なくしたのも、もちろん理由は想像できます。先ほどの話に戻るけれど、トラジャは去年の横アリ単独の反省点をいろんな雑誌で語っていて、「お客さんに声を出してもらう曲が少なかった」とか「広い舞台でダンスを大きく見せようとするとシンクロが崩れちゃうからそのバランスが難しい」とか。
それをふまえて思い返してみると、去年とは比べ物にならないくらい「アリーナサイズでのコンサート」の作り方が上手になっていると思う。会場を広く使ったり、おいてけぼりになるブロックがないように工夫したり、あえて踊らずに立ち姿だけで魅せたり。
今はまさに、彼らの中でも、舞台からコンサートへ、劇場からアリーナへと、自分達の見せ方の選択肢を広げているところなんだなと思ったし、こちらはその挑戦を理解して、応援することしかできないなと思いました。

 

本来、アイドルに対して、「もっとこうしてほしい」「どうしてこうしてくれないの」「なんでわかってくれないの」みたいな感情を持つのは、あんまり健康的なことではないと思っています。もちろんこれは、他の方の応援スタンスに口を出すわけではなく、自分のスタンスの話。私は一度、過剰な期待をアイドルに押し付けてバーンアウトしてしまったことがあるので、自分にはそれは向いてないし、できればまたそうはなりたくないなと自覚した次第です。
でも今回、なんでそういう感情になってしまったのかって思ったら、「これをやってくれて当たり前」だと思っていたからなんだろうなあ。イツバはセトリに入っていて当たり前。DWMは踊って当たり前。シンクロダンスを見せる、去年のサマパラの舞台っぽい曲を集めたような、ああいうブロックがあって当たり前って。
自分がいかに、無自覚に理想を築いて、それを押し付けていたか。もう二度とやるまいと思っていたのにと、少々自己嫌悪に陥っていたところでした。
そんなことを思いながら、冒頭で述べた、3/27発売のステージナビを読んでいると、宮近さんのコメントのところに、こんな風に書いてありました。
『横アリも、新しいTravis Japanが見られると思いますので、僕らからのプレゼントを受け取ってください。そして、感想もお待ちしています!』
……「感想もお待ちしています」ですって……。
あー、敵わないな。
きっと、私と同じような気持ちの人がたくさんいるであろうことも、全部わかってるんだろうね、あなたは。
心底、宮近さんには敵わないなと思いました。いや、戦ったことないけど。
じゃあ、言うね。
本当に、コンサート自体はすごい楽しかった!すごい楽しかったし、ファンに愛と感謝のプレゼントを届けようとしてくれてることは本当によくわかった!だけどね、私は去年の横アリも、本当に楽しかったんだ。だからね、個人的には、もっと観客がおいてけぼりになるくらい、自分達の世界に入ってガシガシ踊る曲を増やしてもいいよ!Break The Chainsで、鉄骨のジャングルジムみたいな巨大セットに乗って登場したのも本当にかっこよかったけれど、派手なセットもなく派手な衣装でもなく、ただシンプルに踊るだけの曲でも、十分魅力的だよ!それが例えアリーナサイズの会場だったとしても!
……まあ、でも、そのバランスも、これからまた調整してくれると思うし、みんなの挑戦は、きとまだまだ始まったばかりだから。それを今後ものぞかせていただきたいと思っています。


私がコンサートに行きたい理由は、Jr.のコンサートは円盤化される可能性も低く、現場に行かなければ二度と見れない可能性が高いということももちろんですが、それ以上に、その場所に行かなければ見られない「景色」があるからだと思っています。
今回も、新しい景色をたくさんたくさん見せてもらいました。
開演前に広がった、客席一体のペンライトが一気に転倒してカラフルなお花畑のような光景。
OPのセンステ上から登場してきたときのキラキラの紙吹雪の中に浮かび上がる7人の姿。
Tonightの大サビ前で手を上げるフリとシンクロする真っ直ぐな白い光も美しい。
Vanillaで、大きなメインステの画面に映し出される7人のシルエットも最高にカッコよかったなあ。
Maybeの照明はまるで満天の星空のようだった。
そして、新曲VOLCANOでは、特効の炎の熱さとともに、彼らの熱までそのまま伝わってくるようでした。

 

彼らからの、たくさんの愛と感謝というプレゼントをもらった後の終盤の曲「GIFT」には、こんな歌詞がありました。
『君のすべてを抱きしめるから』
彼らのために何にもできてないこんな、平凡ないちファンにも、そう言ってくれる彼らのために、

私も彼らにそう言えるファンに、なれるかな。