重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

僕らが選んできた景色を 切り取って並べた時その意味知った

自分のブログのアクセス解析を今日久しぶりに見たところ、Yahoo検索でこのブログに来ている方のうち、96%が先日のUTAGE!の感想のページに辿りついている、という驚異的な結果が示されていて震えている。検索ワードもほとんどUTAGE関連だ。なんか…本当に申し訳ない…あんな適当な記事で……。ブログを初めて過去最大にPVがあったから、ちょっとびびっている小心者です。今日は、先日書いたそのUTAGEの感想の時に入りきらなかったことを。あのコンビについて、私が今思っていること。

本当は、現時点で書くのはちょっと尚早と言うか、もう少し見守っていきたいと思っていた。けれども、今回のUTAGEの放送でこのコンビがセカンドステージに突入したなと感じたことと、次回のキスブサで彼女がゲストということで、見続けていたらどんどんこの二人に対する見解も変わってくると思ったので、今のうちに。そう、賛否両論のあの二階堂&指原コンビについてのこと。

ちなみに今更ですが、関東以外の地域ではかなり遅れ放送になっているようなので、今回のUTAGEを見てなくてネタバレ回避したい方は、この先お気をつけください。

 

まずは今までの二階堂&指原コンビの流れについて整理したい。

はじめに、今年頭の1/19の放送で、二階堂が「番組で一番印象に残っている事は?」というアンケートの回答として、指原の名前をあげ、「指原は普段いじられているけれど、歌っている時はやっぱりアイドルなんですよ」と言い、アイドルモード全開の指原の表情やしぐさをマネするという場面があった。その二階堂を見た指原は、そんなに自分のことを見ているなんておかしいと言い「私のこと好きなんじゃないですかぁ?」というくだりに発展させる。二階堂はもちろん「そんなわけない!!」と否定する。このくだりが以後番組内で数回繰り返される。

ここから、UTAGEの番組内では、二階堂と指原の「犬猿の仲」感を演出するくだりがたびたび披露されることとなる。指原は、以前二階堂に番組の打ち上げの席で『中居さんからのフリがあったのわからなかった?』『対立構造を出していかないといけないんだよ』などとバラエティにおけるガチのダメ出しをされたことを暴露し、二階堂を慌てさせる。かと思えば二階堂は曲中のパフォーマンスで、指原が仲直りのためにさしのべた手を取らず、顔色一つ変えずに飄々とパフォーマンスを終え、指原は「何この感じ!私が勝手にフラれたみたいになってる!」と憤る。

最近の、舞祭組&指原・峯岸・小笠原・Ayaという8人で踊った「Cherry」のパフォーマンスでは、それぞれペアで踊る場面があったのだが、二階堂&指原ペアは、お互いの手を完全に合わせることはしないという「ビジネスパートナー」風味を見せていた。

……というのが、前回の放送までのざっくりした流れ。

そんな二人が、今回のUTAGEでは、ペアを組んで歌のガチバトル。結果は千賀×Ayaペアに僅差で敗れるというものだった。指原は涙を流し、「今回の女性陣4人の中で、私が一番歌下手だったから、足を引っ張りたくないって思ってたんですけど…申し訳ないなって…二階堂さんすごい引っ張って下さってたので、勝ちたかったです」と語る。

そんな指原をかばうように、二階堂は「僕のミスです。気持ちが高ぶって、ハモリを外したんです」と語る。そして以前個人でのバトタイムを経験した二階堂は、「二人だと倍悔しいですね。勝ちたかったし、勝たせたかった。このペアでもう一度やりたいです」と言ったのだ。

 ……今からすごく軽率なことを言う。

すごく軽率なことを言うと、この流れ、超面白い。

 

もともと私は、指原の「私のこと好きなんじゃないですか?」というくだりがあまり好きではなく、やきもきしながら見ていた。それは別に指原にムカつくというわけではなくて、そういう風に女性側から言われたら、二階堂は「そんなわけないじゃないですか!」という言葉しか返しようがないからだ。私は、本当はバラエティ的に見たら、『お前のことなんて好きなわけねーだろブス!!』くらいやってくれた方が面白いと思っていたのだが*1、お互いアイドルという立場上そこまで強いことは言えないだろうし。だから、この「好きなんじゃないですか」のくだりは、何の盛り上がりも生産性もないと思っていた。

それが、徐々に犬猿の仲になり、表面上のパートナーになり。そして今回は、ペアとして戦ったことで互いを強く意識することになる。互いに嫌いだったはずが、無理やり組まされたコンビで練習していくうち、次第に相手に申し訳ない・相手を勝たせたいと思い始め、一層本気になって取り組み始める。

……なんだか、学園もののベタドラマみたいなストーリーである。同じクラスのいがみあっていた男子と女子が、体育祭の予行練習で他のクラスにボコボコにされて、悔しくて本番は本気で取り組んでいくというような、ベタだけど青春の香りを感じさせられる。意図的にしろ偶然にしろ、どこまでが本気でどこまでが台本なのかわからないにしろ、こういうストーリーがイチ番組内で築き上がってきたのはすごいと思うし、それに全力で乗っかる二階堂と指原の仕事人っぷりが好きだ。今回こういうところまで行ったことで、このコンビは次のステージに展開していく土台を作れたと思った。

私は、バラエティだって、バラエティの中で「演じる」ものだと思っている。番組を盛り上げるため、あるいは世間のイメージに合わせるため、あるいはストーリーを作り上げるため…。明確な台本はないかもしれないが、自らの役割を定めて演じるものだと。その点で、「かっこいい&かわいい正統派アイドル☆」というカラーではなく、バラエティの場に自身の活路を見出していた二階堂と指原は通じ合うところがあったのだろうし、その景色を選んでやっているのだろう。それなら私もそのストーリーを全力で楽しんでしまおうと思っている。

ただ、このコンビについて、否定的な意見があがるのももちろんわかる。まず、毎週毎週こんなにがっつり女性アイドルと絡む場面を見ることになり、ハラハラしてしまう二階堂担。絡んでいるところを見るだけで嫌だ触れないでほしいと思っている人、あるいはラブラブ感を出さないでほしい…と思っている人もいるかもしれない。

そういう方がいるのはわかる。ただ、 それよりも対応が難しいのは、二階堂も指原も「バラエティの中で演じている」ことがわかっていて、でもそれがサムいと思っている層じゃないだろうか。彼らの考えが見え見えで冷めちゃう、無理矢理二人をコンビにする感じがサムい、まだこのノリ続けるの?……という層。長々書いておいてなんだが、そういう方達に対してどうすればいいんだろうっていうことはさっぱりわからない。そういう風に考える気持ちはわかるから。私だって、「面白い」と「サムい」の間をうろうろしていた時期もあったし、少しでも何かが違えばサムいと思う方に転んでいたかもしれない。

大体、私がこのコンビが描くストーリーを「面白い」と思えるのも、二階堂のことが好きで、彼がバラエティの道で頑張りたい、芸能界で生き残りたいと強く思っているのを知っていて、「二階堂頑張っているね」という目線で見てしまうからだ。ファンというフィルターを通している。ファンじゃない人がどう思うかはわからない。そもそも、UTAGEは出演者のファンじゃない人が見ても面白いのかどうか、というところからよくわからない(笑)。ただ、ビジネスで言う「費用対効果」のような感じで、批判的に見ている人よりも、「面白い」と思ってくれる人が最終的に多いのなら、二階堂と指原のあのくだりはやる意味がある。逆に言えば、そういう結果が出ないのなら辞めた方がいい。

(追記)すみません、後から読み返してみたら、ちょっとこの部分に対する感情が変わって来たので補足します。「多いならやる意味がある、少ないなら辞めた方がいい」はちょっと違うかもな。「面白いと思っている人がそんなに多くなくても、この番組で初めて二階堂のことを知って興味を持った人がいるならやる意味がある」くらいの気持ちかもしれない。

個人的には、あんまり引っ張っても面白くないので、このコンビが次のバトタイムで優勝して、「一緒に頑張ってよかったね!リベンジできてよかったね!」という大団円を迎え、その後は自然消滅…って感じがいいんじゃないだろうかと思っている。

どういう形が一番いいかはわからない。

けれど、バラエティの場で生きていくと決めた二階堂の決意と努力が実を結び、彼が笑顔でいられる結果になってくれればいいなと思う。

 

最後に、キスマイファンという立場ではなく、いちテレビ視聴者として思うこと。

突然だが、冷静に考えてみるとUTAGEって何の番組なんだろうか。やっていることは歌だしパフォーマンスだし、一見すると「音楽番組」だが、もちろんそれだけでは言い表せない。言うならば「挑戦系バラエティ」じゃないだろうか。毎回、出演者(特に舞祭組)はちょっとムチャな課題を突き付けられ、それでも乗り越えて良いパフォーマンスを披露し、見ている側はパフォーマンスだけではなく、そこへ辿りつくまでの過程も楽しむ。千賀のピアノなんてその最たるものだ。成長を見守るバラエティ。この番組について思うことは色々あるけれど、それでもなんだかんだ毎週見てしまうのは、こうやって出演者の成長を見せてくれる番組って、最近あまりないからだ。古くは、ウリナリの社交ダンス部とかが似たような系統なのかもしれないなと思うけれど、私は放送当時小学生だったのであまり詳細な記憶がなく、全く的外れな感想だったらすみません。

最近のテレビ番組って、どこのチャンネルを回しても、世界の衝撃映像だったり、世界で頑張ってる日本人の映像だったり、旅やグルメロケだったり…。そういうのがつまらないとは言わないけれど、「ながら見」が丁度よくて、あまり印象に残らない。ただ、ゆるく楽しめるものが現在の時流に合っているから、そういう番組が多いのだろう。

その点で言うと、UTAGEなんて世の流れに逆行する。毎週ハラハラさせられるし、舞祭組の扱いに憤ったり、もちろんいいパフォーマンスができなければ本人達に憤ることもある。けれど、ワクワクする。こうやって一人ひとりにキャラを付け、成長していく姿を映し出してくれる、こういう「ストーリーのあるバラエティ」って、最近激減してしまったように思えるから。

出演者が毎回色々なことに挑戦しているのと同じように、番組自体も、ストーリーのあるバラエティが今の時代にどれほど通用するのか、挑戦を続けているのではないだろうか。その結果を見守っていきたい。

 

*1:もちろん、二階堂に指原のことをブスと思えと言うわけじゃなくて、そう言った方がテレビ的に盛り上がるから