重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

SMAP×SMAP スマスマ初の大運動会スペシャル

最初に大型パネルが左右に開いて、旗持った木村とチームのメンバーが現れた瞬間から、その迫力に圧倒されて、こりゃすごい番組になるぞと思っていたんだけども、最後のjoy!!で改めて、本当にすごいことをやったんだなと思わされた。

先日、「耳が痛いテレビ」のことを書いたけども、その番組の中では、「最近のテレビは番宣ゲストばかりでつまらない」っていう一般視聴者の意見が多かった。実際私も、バラエティはどうしてもドラマの踏み台にされてしまうように思うけれども、それはまぁ仕方がないと思っていた。ドラマの方が制作費かかってるし。局の威信かかってるし。

でもこの番組は違った。これだけ大規模な番組やって、大勢の芸能人が集まって、全く番宣関係ないっていうのがすごい。オールスター感謝祭のように、4月からの新番組の告知ラッシュタイムとかあるのかと思ったら、そういう時間は一切なかった。紛れもなく、他番組のためのバラエティではなく、「バラエティのためのバラエティ」だった。最後の全員参加のjoy!!での、「無駄なことを一緒にしようよ」が胸に迫ってきてちょっと泣きそうになった。このフレーズが、こんなに説得力ある機会もない。

番宣のためでもない番組、無駄なことを一生懸命する番組、はたから見たら意味ないだろう。でもその一生懸命やる姿が、チームみんなで笑って怒って頑張る姿を映すことこそが、テレビの存在意義なのではないかと思ったのだ。殺伐とした社会の中、あんなにたくさんの人が笑顔で、「どうにかなるさ人生は」って歌って踊ってるの見るとそれだけで胸がいっぱいだ。*1

 

どこの会社の記事か忘れてしまって、今検索しても出てこないんだけど、このスマスマ大運動会の放送前のニュースで「今回の特番は、フジテレビとしては昨年の『笑っていいとも!』の最終回以来の大規模な特番となる」みたいなことを書いてあった記事があって。あぁ、それからちょうど1年なんだなぁと思ったりした。

ここで、いいともの最終回について書いてあるコラムの中で、私が一番感銘を受けたものを勝手にご紹介させて頂きます。こちら。

 生放送お笑い番組の完全終焉と今になって思ういいとも増刊号の役割

 

この記事では、いいともが終わったことによって、地上波での「生放送お笑い番組」が消滅してしまったことを指摘している。後続のバイキングは、「情報バラエティ番組」という肩書だ。今の視聴者は、有益な情報がないバラエティに意味を見出さなかった。

なぜ、笑っていいとも!は2014年まで生放送お笑い番組の形式で生きながらえたのだろうか。

もちろん、いいとも!は「お笑い番組」ではなかったから、という答えもあるだろう。お笑い番組の定義など曖昧なのだから、そのように分類してしまう手もある。しかし、やはりいいとも!は「笑って」いいとも!である以上、やはりお笑い番組である。よしんばお笑い番組でなくとも、情報番組ではなかったのは間違いない。いいとも!にほぼ有益な情報はなく、逆に言えば有益な情報がないことがいいとも!が長く続いた理由なのだから。

「有益な情報がない」こと。無駄なこと。だけど、それを楽しく一生懸命やること。

いいともの精神を、一年経って、SMAPが引き継いでいるのかもしれないなと感じた。

 

しかしまぁ、無駄なことをやろうとはいえ、それぞれのチームごとにカラーが出てくるのはさすがだと思った。木村は誰よりも「チーム感」を重視し、アツく絶対勝つぞと闘志を燃やして少年のように戦う。剛もアツいけれど、みんなでほのぼのわきあいあい。慎吾は強権政治のようなカラーを出して織田さんにツッコむ。中居は画的な面白さを追求する。台本もないだろうに、こんなに運動会自体にストーリーが出てくるとは。

そしてまさかの吾郎さんのチーム優勝&MVP。誰がこんな結果になると予想しただろうか(失礼)。でも、中居が「剛と吾郎がSMAPを引っ張って行く時代来たね」と言っていたように、普通だったら木村が勝ちそうなところで違うメンバーが勝つというストーリーが展開できるところも、SMAPの強さだと感じた。

 

すみません、ここからキスマイ担としての話を始めます。

色々と見どころはあったけれども、何はともあれ二階堂。なんだあの子は凄過ぎる。

中居に「整形の二階堂!」と振られて、動じもせず「ちょっと糸の痕が残ってますけど気にしないでください」と平然と乗っかり、その後淡々とリレーの話をするニカのコメント力に震えた。普通なら「ちょっと!整形じゃないですよっ!!」が定番の返しだろうに、違うパターンの手持ちがあるのがすごい。そしてそれを、あれだけの大人数の中、あれだけのスターが集まる中、やりきれるハートの強さがすごい。「整形じゃないですよ、何言ってるんですか!」の方が、わかりやすくて笑いは取りやすいだろうに、違う方をとった勇気に賞賛を贈りたい。その他にも、玉入れで転んだ中居を助けたり、篠原さんに攻められたときに「篠原さんが走らなかったからですよ!」と笑顔だけど堂々と返せるところがすごい。画的な面白さを作れるセンスが半端じゃないな。

そして最後のjoy!!で、舞祭組がさー、客席向いて踊ってるんだよ…。そっち向いたら君達、テレビ映らないよ…。私、joy!!を踊ってる4人の顔が見たかったよ……。でも、目の前のお客さんを楽しませるためにそちらを選んだんだね。カメラが回ってないところでも、お客さんに振りを教えていたっていうレポを見かけた。君達らしくて泣けてくるよ。

 

舞祭組は普通のアイドルではない、とよく言われる。でも、普通のアイドルではないというのはちょっと違う気がするんだ。どんなアイドルでも、お客さんのことを大切にするし、一生懸命やるということは変わらないはず。じゃあ彼らが何が違うのかと言ったら、「今までとは違うやり方で」ということだと思うんだ。今までと違うやり方をする4人は、時にカッコよさより面白さを求められるし、テレビに映らなくても目の前のお客さんを楽しませることを選ぶ。そういう過程に軽く心が痛むことはあるけれど、そういう努力がいつかさらにさらに大きな花を咲かせてくれると信じてる。

 

他にもいっぱい書きたいことはあるのですが、とりあえず一旦送信。

普段、派閥には文句ばかり言っていますが、今日は久しぶりにSMAPとキスマイが同じ飯島班で良かったなと感じることができました。最高の企画でした。ありがとうございました。

 

 

*1:だからこそダイジェスト映像はもうちょっと短くてもよかったな。せっかくなんだから現場をもっと映してほしかったな。