重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

アイドルは誰の方を向くべきか?

キスマイを好きになって約1年、本格的にブログを始めるようになってから約10ヶ月。自分の胸の内だけじゃ処理できない思いをアウトプットする場所がほしい、というだけで始めたのですが、こんなに多くの方に読んで頂けるようになるとは思っていませんでした。でも、いつもなんだか偉そうに色々と書いていますが、私は自分がブログに向いている人間だと思ったことは全くなくて。自分の考えていることをまとめるのにも、文字にするのにも時間がかかる。やっと一つの事柄について書き終えて更新しても、このリアルタイム性が重視される世の中ではだいぶ乗り遅れていることの方が多い。そして何より一番向いていないなと思うのは、私は他の人の意見に左右されまくってしまい、自分の意見やスタンスを確定させることが大変だということです。大体どんな事柄に対しても、あっちの意見もわかる、こっちの意見もわかる……そうやってふらふらしてしまう私は、一体自分の「核」というものはどこにあるのか、自分でもよくわかりません。全くもってブログに向いていない。よく続いてるな(笑)

ただ一つだけ、どんな意見を目にしても、どんな騒動が起こっても*1、自分の中で一つだけ変わらない、信念のようなものがあります。それは、『アイドルにはファンも大切にしてほしいけれど、それと同じくらい「ファンじゃない人」も大切にしてほしい』、ということです。「アイドルには~」と書いたけど、これはどのジャンルでも同じではないかなと思う。だから広く言えば、アイドルでも、舞台俳優さんでも、お笑い芸人でも、全部含めて「芸能人には~」と言った方がいいかもしれませんね。このスタンスだけは絶対に変わらない。けれど、なぜこう思うのかということを今まで全く考えてきませんでした。当たり前すぎて深く考えたこともなかった。それに気付かされたきっかけは、一連のSMAPの騒動でした。

あの1月18日の生放送後、一応今後もSMAPとしての活動が続くだろうということで一旦幕引きのような形になった。けれどももちろん、これで全てが解決したわけではない。多くのマスコミは、「ジャニーズ残留派の木村 vs 独立派4人&飯島」という構造を作り出し、特に中居と木村の仲が険悪だという雰囲気を出している。様々な記事を目にすると、ここはどちら寄りの意見かというのがよくわかったりして、私はこの対立構造を作り出している空気に本当に嫌気がさしています。中居と木村の仲が実際どうなっているかなんて本人達にしかわからない。それなのに、本当にいるかどうかもわからない「関係者」の伝え聞く話ばかりで、露骨にイメージを下げようとしている。さらに、大手スポーツ紙が『木村が取り計らって4人を事務所に残留できるようにしてくれた』という論調で書いているせいで、ネット上の世論は大きく4人に味方するようになり、その結果、一気にジャニーズ事務所批判・そして木村批判が増えていくようになった。「ヒーロー気取りで気に食わない」「あの生放送の会見のときだってセンターでドヤ顔だった」「木村は裏切り者のくせに」……などという厳しい意見が相次いでいる。でも、本当にそうだろうか。

もちろんこれも根拠のない私の考えだけれど、木村だって木村のやり方でSMAPを守ろうとしていたんじゃないかと思うのだ。一部では、ジャニーズ事務所SMAPの権利を全て持っているので、事務所を離れたら「SMAP」と名乗ることも、今までの歌を歌うことも出来なくなってしまうのではないかと言われている。それを阻止するために木村は木村の考えで動いていたのではないかと思うのだ。昔慎吾が言っていた。『中居くんと木村くんは言うこともやることも正反対。でも、どちらも正しい』と。一例を挙げれば、2011年に放送されたNHK『プロフェッショナル仕事の流儀』では、SMAPに密着して、スマスマのビストロSMAPの収録前の舞台裏の様子を取材していた。そこでは中居は、タバコを吸いながら誰とも喋らずに集中しており、それと対照的に、木村はスタッフさん達と談笑していた。この映像を見て、慎吾の言っていることが少しわかったような気がした。一人集中して番組の流れを確認する中居も、談笑して現場の空気を和ませる木村も、正反対のようでどちらも正しいのだ。意図的にどちらか一方からしか見ない人には、「中居は社交的ではない」とか「木村は本番前に緊張感が無さ過ぎ」と、思われてしまうのかもしれないけれど。

ファンは、今までそういう場面を何度も見てきたから、きっと今回だって、中居と木村はそれぞれのやり方でSMAPを守ろうとしているんじゃないかっていうことがわかっている。もちろん本当のことなんてわからないけれど、そう考えてそう信じている。だから一部では、「マスコミがどう言おうと私達はSMAPのことをわかってるから」「ファンだけがわかっていればいい」という雰囲気が広がりつつある。確かにその通りなんだけども、でも私は、やっぱりファンでない人にもわかってほしいって思ってしまう。前回のブログにも書いたけれど、SMAPはやっぱり、「ファンじゃないけどなんか気付いたらSMAPが人生の近くにいた」っていう一般の人を味方につけてきたからこそここまで大きくなってきたグループだからだ。

……でも、自分でわからなくなってしまった。なんで私は、この期に及んで、「ファン以外にもわかってほしい」って思うんだろう。きっと今後も、本人達がこの騒動についての詳細な経緯を説明することはないだろうし、そうなると多くの人に植えつけられてしまった「木村は裏切り者」というイメージを完全に払拭するなんて難しい。芸能人を応援することなんて、極論を言えば自分が満足すればいいわけで、なのに、どうして他の人にもこの人達を好きになってほしいなんて思うんだろう。

今まで考えたこともなかった。だから考えてみました。で、どうもしっくりくる表現が見つからなかったのですが、一応の結論が出ました。

私が、 『アイドルにはファンと同じくらい「ファンじゃない人」も大切にしてほしい』って思うのは、単純に『私の好きな人にはより多くの人に愛されて幸せでいてほしいから』っていうシンプルな理由なんだと思います。

 

本格的にキスマイを追いかけるようになって、世界が変わりました。楽しいこともたくさんあったけれど、その一方で、世間の人は予想以上に「ジャニーズ」に対して厳しい見方をしているのだということも知りました。実力もないのにテレビに出ているとか、チャラチャラして努力を知らないとか、事務所の力で優遇されているだけだとか。そういうことを言う人は、元からフラットな目で見ていないのかもしれない。けれど、それでも私は悲しくなってしまいました。好きな人は、多くの人に愛されて幸せに生きていてほしいんです。そういう厳しい目で見ている人達にも、いつか伝わってほしいなって思うんです。以前から度々言っていますが、長く活動を続けていくためには、濃いファンを獲得するのももちろんですが、「ファンじゃないけど結構好きだよ」と言ってくれる一般人を増やしていくことも大切だと思うから。そうやって、「好き」と「嫌い」できっぱり2等分するような感じではなくて、色々なレベルの「好き」があって、グラデーションのようになっていくのが理想だと思っています*2SMAPはその立場をある種確立させた人達だと思います。

ちなみに、キスマイに堕ちた一番の理由もそれでした。彼らはアイドルなのに女心がわからなかったり、頑張りが空回りしたり、良かれと思ってやってることが失敗したり。努力している姿やカッコ悪い姿を見せるのは、もしかしたらジャニーズの中では御法度だったのかもしれないけれど、 そこを全面的に見せてくれることで、「ファンじゃない人」にも親近感が生まれ、訴えかけているように感じられたのです。趣味が細分化してディープになって、皆が共通の好きなものが生まれにくい時代に、ここまで「ファンじゃない人」の方を向いている人達に出会えるというのは衝撃でした。それが、飯島チルドレンとしてSMAPのやり方を踏襲していたからそうなったのか、それとも元々本人達にそういうメンタリティがあったのかは、私にはわかりませんが。ただキスマイの場合は、「ファンじゃない人」に受けそうな自虐ネタトークをやりすぎて、「もう!ファンの気持ちわかってるの!?」と言いたくなってしまうこともあるけどね(笑)。それも、もう少し経験を積んだら落とし所がわかってくれるんではないかなぁと、期待したいところだけれど。

もちろんキスマイに限らず、他のジャニーズのグループもそうやって「ファンじゃない人」の方を向いている場面もたくさんあると思います。けれど、今回の騒動で、ファンじゃない方に訴えかけるのは相当難しくなってしまったように思えます。ジャニーズはブラック企業だとか前時代的だとか。まあ確かにそう思うところもあるんですけれども(笑←)。何よりも、ファンを「あんな騒動があったのにまだジャニーズを追いかけているなんて」という目で見るでしょう。好きな人と嫌いな人の二極化。そうなると、いよいよグラデーションなんて言っていられる場合ではなくなる。ジャニーズが好きな人達は一部の人達だけで、その囲いのなかでは幸せな空間が広がっているかもしれないけれど、その囲いを一歩出たら世間には冷たい目で見られるような。そうなってしまったら、いくら熱狂的に愛してくれている人達がいたとしても、それは本当に幸せなことなのだろうか?

 

本当は、もういいんじゃないかなって思う時もある。SMAPは今まで、十分、「ファンじゃない人」にも訴えかける活動をしてきた。だからもうこれからの人生は、ファンの為だけに生きてくれてもいいんじゃないか。例え不仲だと言われようが、裏切り者だと書かれようが、本人達の中で結論が出ているならファンは応援するよ、ファンはわかってるよ。それでもいいんじゃないか。

でもきっと、SMAP自身がそれを望まないだろうと思う。特に震災後、彼らは被災地を中心として日本全国を飛び回り、その土地土地の人達と触れあって勇気と元気を与えてきた。のど自慢やパラリンピックのサポーターも務めた。もはやほぼ慈善事業だ。自分達が会いに行くことで、笑顔を見せてくれる人達、喜んでくれる人達がどれだけいるかをよくわかってくれているはずだ。それはもちろん、ファンも、ファンじゃない人も、どちらも大切にする活動を続けてきたからだ。だからやっぱりSMAPには、この諸々も全部含めて、いつかファンじゃない人にもわかってもらえるような道を探していってほしいなぁと期待してしまう今日この頃です。

 

*1:なんか物騒な言い方になってしまいましたが適切な表現が見つからなくて。すみません・笑

*2:そのあたりの話はここでちょっと書きました→「好き」のグラデーション