重箱のすみ

アイドルとの距離感の取り方は、いつまでたっても難しい

デパートの屋上が似合うね

UTAGE!という酔狂な番組がある。その酔狂な番組は、8/17放送回から、昨日9/7放送回の全4回に渡って、「UTAGE!夏合宿」と題し、なんでだかよくわからないがロケに出た様子を放送していた。なんでだかよくわからないが、アシスタントの渡辺麻友の出身地である埼玉県に行き、なんでだかよくわからないが「試練を乗り越える」というテーマのもと、様々な場所で路上ライブやゲリラライブを行い、度胸をつけたり初心に帰ったりUTAGEアーティストメンバー内での絆を深めたりしていた。

8/24の放送分では、川越駅に隣接する、アトレ川越という駅ビル(デパート)で、UTAGEメンバーが行った緊急ライブの様子が放送された。この日はTEEがライブを行うということが急遽お客さんに告知され、チラシも配られた。しかし、それを見て集まったお客さんの前には、TEEだけでなく様々なアーティストが現れ、デパートの屋上に設置された特設ステージでパフォーマンスが繰り広げられたのだった。

お客さん達は、指原・峯岸・山本、E-girlsのAya、IVAN、KABA.ちゃんなど、次々と出演する豪華アーティストに大盛り上がり。そうして4曲ほどパフォーマンスが続いた後に、中居は「じゃあ次。舞祭組、行け」と突然の無茶ぶり。舞祭組の4人は戸惑いながら椅子から立ち上がる。それもそのはず、彼らはこのデパート屋上の野外ライブに出演する予定だとは知らされていなかったのだ。リハーサルどころか、歌う曲も、その曲のサイズもわからないまま、中居に「早く、時間ないから!」と急かされる。こうして、気温30度を超える猛暑の野外に、スーツのまま、放り出される4人。

舞台に上がって、何も知らなかったお客さん達の大歓声が上がる中、『やっちゃった!!』のイントロが流れ始める。しかもテレビバージョンの尺ではなくカットなしのフルコーラス。全員テレビサイズだと思っていたため、全員でフリを間違え「あっ違う!!」と言ったり、立ち位置がわからなくなったりとわちゃわちゃ。けれど、千賀が『イヤミばっかり言ってる上司に~』と冒頭のフレーズを歌い始めると、そこからは一気に空気が変わる。突然振られたとは思えないくらい音程も安定していて、その歌い出しを聴いた瞬間に「あぁ、もう大丈夫だ」と思った。その後の二階堂のソロも伸びやかな歌声で、さらにその二階堂の周りを囲む振付の3人も笑顔がキラキラしていて。サビの宮田も、美しい歌声なのに気持ちが伝わってくるパワフルな歌い方。せっかくフル尺をやったのに、放送では、「いつまでたってもまだ飲める~」のところと、横尾師匠のソロがバッサリカットされた件は絶対許さないんだけども。でも、とにかくとにかく、猛暑の野外の中スーツで踊り、限界まで声を出し、倒れそうになりながらも全力を出し切るこの舞祭組のステージが、本当に本当に素敵で、キラキラしてて、かっこよくて、胸を打たれてしまったのだ。

 

「デパートの屋上が似合うね」なんて言ったら、怒られてしまうだろうか。

相手は、ドームクラスでコンサートを行っているKis-My-Ft2だ。それを、見たところ100人ちょっとくらいのお客さんしかいなかった、デパートの屋上の野外ステージが似合っていたなんて言ったら、そりゃ、失礼かもしれませんよね。

でも率直に言って、そう思ったんだ。あのステージが似合っていた。それは、間違っても「キスマイの後ろの4人には小さいステージがお似合い」って意味じゃないんです、どうかそれだけは。どういうことかと言うと、彼らには「こんな小さなところに立ってやってる」というような驕った感じはもちろんなかったけれども、それと同時に、こちら側が「こんなアイドル様がこんなステージに立っているのを見るのは忍びない…」と思ってしまうような、過剰に恐縮してしまうこともなかったように思えるのだ。例えば今回だって、舞祭組ではなく「キスマイの4人」としてステージに立ち、きらびやかな衣装を着て、キスマイの楽曲をやっていたら、また全然違った雰囲気になっていただろう*1。そうだったらきっと、小さなステージに立っているところは似合わない。「ここに!いるべき方々じゃ!ありませんよ!」と大声を出して止めてしまいたくなると思う。けれど、舞祭組として出ていた彼らは、そうやってこちらに余計なことを思わせてはいなかった。

これはもう私の感覚なんだけれども、アイドルって同じ人間だけれども、同じ人間ではないように思えるのだ。甘い歌声で数万人を魅了したり、セクシーなダンスで一瞬にして心をつかんだり、常人ではできないようなアクロバティックな技をやったり。普通に生きてきたら身につけられないような技術を身につけている*2。同じ人間ではあるけれども、一般市民とは住んでいる世界が違う人達。決して交わらない雲の上の存在。

それに対して舞祭組は、私達の住んでいる一般世界まで降りてきてくれているような気がするのだ。彼らはその姿で、その全力パフォーマンスで、全てを伝えてくれている。「毎日大変だよね、いろいろあるよね」「上司*3に無茶ぶりされてしんどい時もあるよね」「けど明日も最初は笑顔で始めようね」って。私達と同じ世界で、同じように戦っているように感じられて、だからこそ、彼らの言葉が信じられる。屋上の小さいステージで、スーツ着て踊る4人は、一般市民の中にいるヒーローのようだった。

アイドルらしいアイドルと、アイドルっぽくない舞祭組の、どちらがいいとか悪いとかじゃなくて。それぞれに味があって、その2つの顔を使い分けている4人は、最高にかっこいいなと思うのですよね。やっぱり舞祭組の一番の魅力は、自虐ではなく、「どんな時でも、どんな場でも全力」ってことであってほしいんですよね。

 

前に、確かめざましテレビのインタビューだったと思うんだけど、二階堂が「舞祭組でライブやりたい。絶対大きいところではできないから、ショッピングモールの屋上とか」って言っていたことがあった。確かにそういうところでやってほしいけれども、本当は本人達だってわかっているはずだ、今の彼らはそういうところではできない。きっと人が殺到して、大パニックになって中止になる。舞祭組のコンセプトとしては合っているけれども、人気に見合うキャパシティではない。

だからまぁ、今回番組の一企画だけれども、そして一曲だけれども、夢がかなってよかったねぇ。UTAGEには10回中9回くらい文句言ってるけど、そのうちの1回が本当に胸がいっぱいになるくらい良い回で、その1回が残りの9回を全て吹っ飛ばしてくれるから結局感謝せざるを得ない感が悔しい。ただとりあえず、早急に、このデパートの屋上で歌う「やっちゃった!!」のフルバージョン、ガヤガヤ言いながら見ているUTAGEメンバーの音声も入っていない、純粋にステージの音声だけのバージョンを放送してください。もしくは売ってください。買うから。

 

デパートの屋上が似合うね。

そんなみんなが大好き。

  

 

 

*1:今日そんな状況はなかなかないだろうけど

*2:そもそも小さいころからジャニーズの世界にいるので普通に生きていないんですが

*3:中居のような

ナカイの窓雑感  ―「やらなければならない」に追い込まれたひと―

千賀健永がナカイの窓にピンで出演する、という事実を知ったのは、7月の終わりごろだった。まず、ピンでバラエティに呼ばれたことも嬉しいし、それがじっくりトークを披露するこういう番組ということも嬉しかった。出演を知ったのは雑誌の記事だったのだが、確かその時には『次の時代を引っ張っていくタレントを呼び、その実力をチェックする』というようなことが書かれていたと思う。ナカイの窓という番組は、「背が高い芸能人」とか「友達多いvs少ない芸能人」のように、あるテーマに沿ったタレントが括られて集められることが多いので、一体千賀さんが出る回は何をやるんだろう?と少し疑問に思っていた。ただこの時点では、私はことの重大さに気が付いていなかった。数週間後、千賀が出演する回は何のくくりなのかが正式に発表された。それはなんと、

『次世代ゲストMC選抜回』

えーーーーー!!!

 

ツイートが取り乱し過ぎている(笑)。でも、それくらい嬉しかったのだ。ナカイの窓は中居がMCだが、毎週中居の補佐的な役割のMCとして「ゲストMC」という存在がおり、時に進行し、時にツッコみ、時に説明を加え、時に暴走する中居を抑え込んだりしている。現在は、陣内智則南海キャンディーズ山里、オードリー若林、ピース綾部などそうそうたる実力者達が主にその役割を担っている。が、ゲストMC選抜回は、今後その位置に座る新しいゲストMCを発掘しようという回だ。こんな時に呼んでもらえるなんて。

私は以前から『千賀健永の仕切り』が大好きだった。けれどそれをクローズアップしてもらえる機会なんてなかなかないし、世間的には今はキスマイとしては北山が前に出て知名度を高めていく時だろうし、千賀仕切りの時期なんてまだまだ来ないと思っていた。それなのに、今回こういうくくりで呼んでもらえるなんて。

8/19のナカイの窓の本放送では、千賀が目標とするMC像が、南キャン山ちゃんだということが明かされ、例えツッコミに憧れているという話をしていた。これ、すごくわかるなー。千ログ読んでても、言葉のセンスが光ってるなと感じることが多々あるから。けれど、それが長い文章になっちゃうとちょっと散漫としちゃう印象もあるので、山ちゃんみたいな短いフレーズで勝負する方が本人の性にも合ってるのだと思う。この前、プレバトで披露した俳句もそうだよね。

ただ千賀は、山ちゃんがMCをする際に、自分の考えた例えツッコミが言いやすいような状況に場を持っていくのではないかと思っていたようだ。あぁ、こういうところに経験値の少なさと、本人の従来の素質である天然さ(笑)が出てしまっている。山ちゃんはそうではなく、出演者に好きなことをしゃべらせ、その話の流れに合うピースを出している。「言葉を考えていることが苦にならない。趣味と実益を兼ねてるんですよ」と言った直後、千賀は目をキラキラさせて「アーティストみたいですね!」と返していた。憧れの山ちゃんご本人からコツが聞けたことで、千賀さんも少し意識が変わって楽になるといいですね。きっと、フレーズを日頃から考えること自体は苦じゃないと思うんだ。面白いことを言うと意気込むのではなく、周囲を立てながらその場その場で合うフレーズを出して、自分も周りも楽しくなるといいですね。そういうMCができるようになるといいですね。

 

 私が千賀のことを、「仕切れる側の人」だと考えるようになったのはいつごろからだろう。4月のキスブサの感想を書いたブログで、こんなことを言っている。

 

そこからは千賀が頑張ってたなぁ。北山が主役になる時、宮田が話を進めたりする時もあるけど、その宮田も当事者になってしまうと誰が仕切るんだ問題になるし、そんな中で一番外枠からガンガンコメント入れてる千賀かっこいいなって思ったよ。席替えで千賀が一番外に来たのは、そうやって「北山が動けない」時に、全体を見て回せる役回りを与えてもらったって意味もあるんじゃないかなと勝手に思っている。いじられけんぴちゃんも好きだけど、やっぱり千賀は場を回せる力も十分にあると思うので、その役割でも頑張ってほしいなぁ。

キスブサ ナイトウェア回&サッカー回 感想 - 重箱のすみ

 

でも、多分私が実際に意識し始めたのは、もうちょっと前の、舞祭組の「やっちゃった!」発売関連プロモーションの時だったように思う。4人だけで色々な番組に出演している際に、千賀が代表でコメントを求められたり、他のメンバーに話を振ったりする場面があったりして、そういう積み重ねで千賀仕切りが好きになったのかもしれない。

実際、舞祭組4人の中でも、仕切るなら千賀という考えがあるみたいだ。8/5の北山・横尾のキスマイRadioではちょうどそんな話をしていた。

 横尾:舞祭組では基本、(仕切りは)千賀さんなんですよ。おのずと。

北山:それなんか、「オレ行くよ」みたいなのあるの?4人の中で誰が仕切るか。

横尾:初めて、4人でニュース番組*1とか出た時に、(千賀が)「ここは大事だから…ここは俺が言っといたほうがいいかな…」みたいな

北山:(笑)裏千賀出てるんだ?

横尾:で、みんなが

北山:「あぁいいよ」みたいな。

横尾:うん。で、ニカはガヤいきたいタイプだし、俺は噛んじゃったりするから、

北山:(笑)

横尾:うん、いいよ、じゃあいいよってタイプだから……

北山:あの、全ての原因は、「横尾さんが噛まなければいい」ってことに、ゴールないですか?

横尾:まぁ…僕ですね(笑)

こう言って二人は笑っていたけども(笑)。でも、確かに実際、横尾が言っていた通りの状況なのではないかと思う。きっと、千賀がMCをやりたいっていうのも、元々は後天的な理由からなんじゃないだろうか。北横も言っていたけれど、舞祭組4人の中では、ニカはガヤ&裏回しポジションだし、それを自分から望んでいるところがある。宮田は、ファンのなかでは十分MC能力があると認識されているし、ファンが集まる場だったら仕切ることもあるけれど、朝のWSのような番組では、いじられたりギャグを求められる機会が多くキャラ的に仕切ることができなくなってしまう。横尾は、噛んじゃうからとか言われていたけども、そういうことよりも、フリーにしてた方が面白いんじゃないかなぁ。みんなから一歩引いて、時折ボソっと言ったことがすごい笑いを生むケースもあるしね(笑)。そうなってくると、消去法的に千賀が行くしかないという共通認識が生まれて、そこで彼の自覚が出てきたんじゃないかなって。

私は千賀仕切りが大好きなんだけど、なぜそんなに大好きなのかと言われると上手く説明できない。自分でもよくわからない。ただその一因に、「『やらなければならない』という状況に追い込まれたから」というのがあるような気がするのだ。舞祭組4人の時でも、ポジション的に自分がやるしかない。キスブサで北山が最後まで残る時も、普段仕切ってる人が動けなくなってしまうから自分がやるしかない。そうやって、自分が仕切るぞ、とグッとスイッチを入れなおす千賀はとってもカッコいい。普段とのギャップを感じてドキドキする。先日のキスラジで、そういう時の千賀を北山と横尾は「ドヤ顔してる」「オレ仕切ってます感を出し過ぎ」といじっていたけど(笑)、でもそれも、末っ子の成長を見守るお父さんとお母さんのようでなんだか微笑ましいです。北山お父さん、「千賀の仕切り鬼のようにヘタ」などと言わず、時々コツを教えてあげてくださいね(笑)。

 

先週と今週のキスブサでは、順位発表の際、北山が2週連続で最後まで残っていた。先週の『元カノとヨリを戻すカラオケ』の時には「北山さんはどうなの?」とストレートに回していたし、今週の『元カノと遭遇した時の切り抜け方』では、最後まで残った北山と横尾が自信あると言い争っていた時に「山本さんに聞いてみようよ」と、ゲストの山本美月さんに意見を求めて振っていた。以前よりも明確に、千賀が堂々と仕切っている感じがするし、本人にもその自覚が出てきたのかもしれない。もしかしたら、こうやって千賀回しにすることも、カンペやスタッフさんからの指示で決められているのかもしれないけれど、それはそれで千賀がそこまで頼られるようになったということなんじゃないかなと思って、それもまた嬉しい。

今回のナカイの窓終わりに、千賀担のなかでも意見が分かれているようだった。千賀さんは、Kis-My-Ft2でいる時は末っ子いじられキャラだけれども、舞祭組でいる時には仕切らなきゃいけないという、他のグループにはない難しさがあるのだと思う。末っ子だったり、甘えんぼだったり、天然だったり、そういうところがあるんだから、わざわざMCなんていう対極を目指さなくてもいいという考えももちろんあると思う。ただ、そんなポジションを使い分けてる人はなかなかいないからこそ、それが出来たら本当に面白い。ぜひぜひ頑張ってほしいなと思います。

 

*1:めざましテレビやPON!のようなWSのことだと思われる

テレビは「本気」を見せてくれ

(注:今回はあんまりキスマイもSMAPも関係なくって、テレビ界全体のことみたいな話になってしまいました。お好みに合わない方がいらっしゃったらすみません)

 

先月7月30日の木曜日。ダウンタウンDXに千賀と二階堂が出演した時のこと。この回は本当に面白くて、2人も色々なところでいいコメントをしたり、スタジオを沸かせたりして、結果を残していてとても嬉しかった。クッキーを割って「あはっ(ハート)」と喜ぶ謎だけど可愛い千賀、松本に憧れていることを本人の前でバラされてちょっと恥ずかしそうな二階堂。さらに、お互い相手の細かいことで文句を言うのに「やめてくれ…た…よね?」という着地でケンカにならないところまで、ニカ千の空気感が表れていてすごく楽しかった。Kis-My-Ft2という名前は聞いたことがあっても個人名は全然わからない、というような視聴者に対しても、いいアピールになったと思う。

さてその中で、2人がこの日同じくゲストだった指原莉乃と言い争う場面があった。指原が、ニューハーフアイドルのたけうち亜美と似ているという話題の際に、まず二階堂が「(指原より)亜美ちゃんの方が全然カワイイけどね」と先制攻撃を仕掛ける。指原はそれを受けて、「いや、私だって、キスマイでもあの2人には言われたくないです!*1」と応酬する。

さらにその後、指原はHKTのコンサートの際に楽屋で全裸で踊って、困っている後輩の反応を見るのが面白いというトークを展開する。そして、このトークの前に、バスルームで半裸になって化粧品を紹介していた千賀や、コンサートで脱ぐために体を鍛えている二階堂のVTRが流れたことを踏まえて、指原はこう言うのだ。

指原:私、さっきからずっとお話し聞いたり、VTR見たりして思ったんですけど、キスマイのあのお二人も、裸で何かやったりとかしてたじゃないですか。だから、グループのブスって、脱ぎたがるんじゃないかなって!*2

二千:おい!!(二人で立ち上がる)

指原:私もそう、私もそうだから

千賀:顔がブスだから舞祭組になったわけじゃないわ!!*3

指原:わたし、私もどっこいだから

千賀:正直、フェイスラインだけで言ったら、よく1位になれたなって!

 このくだりがとても好きだった。突然の理不尽なブス扱いに対し、立ち上がってぎゃんぎゃん抗議して言い返すニカ千。でもそれも、千賀の「フェイスライン」という面白いワードを入れることによって、ガチで怒ってるわけじゃないというのが見ている側にも伝わってくる。ちゃんと笑いになる絶妙なラインをついてくるところがさすがだ。素晴らしい。

こうやって、ジャニーズアイドルと他の女性タレントが絡んだり言い争ったりしたとき、「○○くんの悪口言うなんて最低!」「もう近付かないで!」と炎上する案件は往々にしてあると思う。しかし今回に関しては、ニカ千側も指原側も、双方が冗談だとわかるような雰囲気を出していて*4、これくらいなら指原に突撃するような人も少ないだろうと思った。実際、今回はそんなにおおごとにはならなかったようだ。しかし、私はそれとは別に、思わぬかたちで複雑な気持ちにさせられてしまった。

それは、放送終了後に、指原のツイートを見た時だった。一般のユーザーの「キスマイヲタさんに叩かれてない?大丈夫?」というリプライに対し、指原はこう返したのだ。

 

 

私はこのツイートを見た時、リアルに声に出して、「えぇぇ……」と言ってしまった。この指原の言い方じゃ、「私は、プロレスで千賀さんと二階堂さんと言い争ってます。争ってるように見せてるだけです、ビジネスです」って宣言しているようなものじゃないだろうか。言われなくてもそんなことはわかっている。けれども、そこをビジネスと名言せずに、「本気」でやっているように見せるところがバラエティじゃないだろうか。

例えるなら、人が宙に浮いているようなイリュージョンショーを見て、観客が「すごーい!面白い!」と沸いているところに、マジシャンが「これは実際に浮いてる訳じゃないんですよ、こうやってこうやって…」と、急にトリックを明かし始めたような気持ちになってしまったのだ。……いや、いや、知ってるよ!本当に宙に浮いてないことは知ってるよ!でも別にそこで、「浮いてませんよー」ってそっちから言わなくてもいいじゃないか、ちょっと興ざめしてしまうよ。

ただ、確かに、こういうリプが送られて来た場合、こうやってきちんと説明しなければしないで、「スルーするのか」「やっぱり叩かれてるんだ」みたいに言われてまたさらに火が燃え上がるっていうこともあるだろうから、反応しなければいけないんだろうという事情は感じるんだけどもね。だから私は正直、極論を言うと、芸能人はTwitterをやらなくてもいいんじゃないかと思ってしまう。今の時代は芸能人と視聴者の距離が近すぎる。フィクションとノンフィクションの区別が曖昧な時に、その曖昧さを含めて楽しむという人達よりも、フィクションかノンフィクションかどっちかハッキリさせてやろうという人達の方が多い気がするんだよなぁ。

 

ここからはもう、テレビ論みたいな話になってきてしまうんですけども。

今年の27時間テレビのテーマは「本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん!」。これを掲げて、メインMCのナインティナインが「本気」を見せることでテレビ界の危機を救い、テレビは楽しいという本来の姿を自らの行動で示していくことが目標だったらしい。

『FNS27時間テレビ2015』 - とれたてフジテレビ

 

正直私は、今年の27時間テレビをそんなに長時間見ていない。めちゃイケメンバーがメインでやるって言ってるのに、結局ナイナイと中居の番組になってるじゃないか、というのがその一因だ。こういう形態にするなら、最初から総合MCはナイナイと中居だと言えばよかったじゃないか。そのスタンスのブレのせいで、めちゃイケメンバーでも目立っていないメンバーがいたところが勿体ない。中居だって、メンバーだって、お互いに肩身が狭いじゃないか……と、まだまだ言いたいことはいっぱいあるのだが、とりあえずここでは置いておく。まぁつまり、そんなこんなで今年の27時間テレビはあまり見ていなかった。

ただ番組の終盤、岡村が様々な人とコラボするということで「テレビのピンチをチャンスに変える」というテーマの、60分ノンストップライブをやるという時。それは楽しみにしていた。ライブが始まる前、モーニング娘。OG、AKB48EXILEなど、コラボするアーティストの紹介VTRが流れる。その中で、1990年代に圧倒的な人気を誇っていた*5、アイドル風芸人のハシリと言われる吉本印天然素材が復活するというVTRが流れた。そして、当時彼らを指導していた夏まゆみ先生は、感慨深そうにこう言った。

やっぱり、矢部に踊ってほしいかなぁ。矢部が踊ったら、感動しちゃう。

 しかし矢部は、その夏先生のVTR終わりにこう言う。

矢部:まぁ、踊らないですけどね。

中居:えっ、心に響かないの?

矢部:あぁ、そういう思いでいてくれてんねや、(とは思うけど)踊らないです。

その場にいためちゃイケメンバーからは、「えー?」「ひどいなー」などの言葉が飛ぶ。矢部は表情を変えず頑なに踊ると言わない。

結論から言うと、矢部は結局天然素材のダンスの際に、参加して踊り始めたのだ。そして天然素材メンバーと一緒に、激しいダンスを最後まで踊りきった。そのダンス自体はとてもカッコよかったし、40歳オーバーの芸人達が体力の限界まで踊っているところは本気を見せてもらえたなぁと思った。 でも、やっぱりその前の流れがいただけない。番組としては、「いや、矢部は踊らないって言ってたのに結局踊るんかーい!」という笑いを生みだしたかったのだろうと思うのだけども、それがちょっと寒くないだろうか。

全く同じことが、このライブにおけるSMAPの扱いに対しても言える。アーティストVTRの最中ずっと、佐野アナウンサーは「中居さん、あの国民的グループの情報がまだですねぇ」「結局あのグループはどうなったんでしょう?」のように、SMAPは登場しないのかと中居に何度も問いかける。中居はそれを受けて「いや、出ないですよ。メンバーも来ないですよ、そんな予定はないんですから」などと否定する。もう、このわざとらしいくだりが何度も繰り返されることによって、多分SMAP出るんだろうなってわかる。そしてノンストップライブも終わりに近づく頃、カメラマンに扮した木村の姿が映し出されると、めちゃイケメンバーは「中居さん!早く行かないと!」とライブに送り出す。中居はポカーンとした顔をしながら、ライブ会場へ向かう……という流れなんだけども。

いや、あのさぁ!もうわかるじゃん!ライブなんだから、打ち合わせ一切なしでできるわけなどない。SMAPがライブをやることだって、中居が出ることだって、みんなわかってたんでしょ。みんなわかっていたはずなのに、それを知らないていでやっている感じが、面白いというより寒いと思ってしまう。パフォーマンス自体は素晴らしかった。SMAPがスタッフや警備員に扮しているところ最高だった。特に、照明さんに扮していたつよぽんが、ピースして、笑顔で華麗にヘルメットを投げ捨てるシーンなんて、あまりのかっこよさに涙が出た。そういうパフォーマンスだっただけに、最初から視聴者にもバレバレのくだりをやっていたことによって、全体の印象が安っぽくなってしまってもったいない。せめて、木村が映し出された時に、スタジオにはすでに中居がいなくて、ライブ会場に現れた中居を見てめちゃイケメンバーみんなが驚く、という流れだったら、一応中居は知っていたという設定にすることができるからまだいいと思うんだけども。

「いや、SMAP出るんかーい、中居も踊るんかーい」という笑いは、一昔前だったら面白かったかもしれないけれど、今の時代にはそぐわない気がする。先ほども言ったように、今の時代は「フィクション」と「ノンフィクション」をきっちり建て分けたい人が増えていて、その曖昧さを楽しむ余裕がなくなってきているんじゃないかと思うのだ。今回の27時間テレビでは、「テレビがピンチだ」というフレーズを何回も連呼していたけれども、こういう時代の変化や視聴者の好み、笑いの違いに対応できてないっていうところが、ピンチになってしまった要因なんじゃないだろうか。それを制作側が全然理解できていないように感じられる。

難しい時代だとは思う。今は、「本気を見せる」か、「明らかに設定・コントとわかる」ものの二極化しているように感じられるし、その流れは止まらないと思う。ただ、「本気でやっている」ように見せる面白さはあると思うので、それを明らかにわかるような形ではこちらに提示してほしくない。そのギリギリのラインを攻めて行ってほしいなと思ったのでした。

*1:っていうかこの時点では千賀は何も言ってないのに一緒にされている・笑

*2:っていうか、今の女子アイドル界のトップが自分はブスだと言うなんて、やっぱ指原はすごいなと思う

*3:こういうことをこまめに言っていくことって大事ですよね

*4:もちろん、冗談とわかっていてもこういうくだりが受け入れられない方もいると思いますが

*5:私は当時を全然知らないけれども

終わらないことを目指すもの

今月7日に発売された、POTATO最新号の2015年9月号。POTATOは8月号と9月号の2回に渡って、「デビュー5年目突入企画『キスマイResearch』」という企画をやっている。これは過去のインタビューで何と言っていたかを本人が振り返ったり、10年前と同じメンバーで同じテーマについてトークしてみたりする企画で、過去を知らない私のような新規ファンにとってはとてもありがたいものだった。その中に、メンバー自身が過去の転機となった場面について語る箇所があり、千賀はこうコメントしていた。

横尾さんとガヤさんが、「敬語や『くん付け』を辞めよう」と言ってくれたことも大きかったし、デビュー直後、宏光と濃い話をしたときに「5年待て」と言われたことも大きかった。当時は意味がわからなかったけど、今思うと、「宏光、やるな」という感じだね。 

 

以下は、私の想像や推測が多分に入ったものになってしまいますが、どうかご了承ください。*1

この時に千賀が北山に何を言ったのか、どんな濃い話をしたのか、そして北山の「5年待て」の真意とは何だったのか、というのは、ここでは語られていない。その頃の気持ちを詳細に明かしてくれる時は、きっともう少し後になるんだろう。

ただ、何となく推測されるのは、おそらく千賀は北山にいわゆる3:4の格差の話をしていたり、こんな状況で自分はどうすればいいかというような話をしていたのではないかということ。そして「5年待て」と返した北山は、本当の勝負は5年後だと思って、その頃には格差などの諸々も好転している事を信じて、進んできたんじゃないかな。そして、デビューから目まぐるしく与えられる様々な課題を乗り越え、目の前のお仕事一つひとつを大切にしながらも、その通りになるように決意していたんじゃないかな。

そうは言っても、この時の千賀は、北山の発言の意味が分からなかったと言っている。確かにそうかもしれない。「東京に来たらデビューさせてあげるのに」的なことを言われて、その言葉通りに名古屋から東京に出てきて、でもそこから実際にデビューするまで7年かかって、それなのにやっとデビューできたと思ったらこの状況。前の3人ばかり目立ち、後ろの4人とバックで踊っているJr.との境目がわからない*2。ここからさらに5年待てと言われるなんてびっくりだし、5年待ったからと言って状況が好転しているとは信じられなかったのかもしれないですね。でも、私のような超新規が言わせてもらうのも本当におこがましいんですけども、そこから月日が流れて、デビュー5年目に入るというこの時に、彼らが耐えてきた時期につけた実が、着実に花開いてきたんじゃないでしょうか。

 

 私は、少なくとも2012年にはキスマイのことを認識していたと思う*3。けれどその頃には明確な衣装格差があって、まだ中居も3:4の構図を大々的にイジっているほどではなかった。私はその状況を見て、「後ろの4人本当にかわいそうだな」と思ってしまったのが正直なところだった。前回のブログにも書いたけど、突然始まったSMAPのバーター売り*4に戸惑ってしまったこともあって、「なんだかキスマイを好きになったら大変そう」という意識が働き、深入りするのを辞めてしまった人間だ。だから、当時の格差戦略が必ずしも良かったかどうかというのはわからない。

けれど、彼らはそれを武器にして、他のグループにはないカラーが生まれた。まずは3人の顔を世間の人に覚えてもらい、その後4人を売り出すことにより、時間をかけて、でも着実に世間に浸透した。そして最近はやっと7人が横並びで、それぞれの顔もキャラも均等に取りあげてもらえるようになってきた。このタイミングで彼らに堕ちた私は、結果的にデビュー5年目にさしかかるところで好きになったのだから、完全に術中にハマっている。言うまでもなくそれは、彼らがどんな状況でも諦めずに甘えずに、自分達の魅力を磨き続けてきたからこそだけれど。

もちろん、デビュー前からキスマイのことが好きな方も、デビュー後からキスマイのことが好きな方も、私のように最近になって好きになった方も、その中でも3:4の構造が面白いなと思って好きになった方も、それは納得できないけれど彼らが好きだから応援しようと思っている方も、色々いろいろいらっしゃるだろう。何が言いたいかというと、きっと、グループが年月を重ねるごとに売り出し方は段々変化して行って、その時々のタイミングで、その時々に気になった人のアンテナに引っかかるようになるのだろうということ。だから、彼らに求められることは、今目の前にいるファンを楽しませることと同時に、どうやったらこのグループをずっと輝かせていけるか、さらに大きくしていけるかという長期的な考え方ではないだろうか。

 

以前、こちらのブログを拝見して、とても驚いた上に感銘を受けた。

sasagimame.hatenablog.com

 

こちらの記事では、SMAP以前はジャニーズのグループも解散することが当たり前だったこと、さらにSMAP以降その常識が変わったことを、多くの文献に基づく詳細なデータをふまえて丁寧に解説してくださっている。私は小学校5年生くらいからSMAPが好きで、当時の彼らの活動年数はデビューしてから10年目。こちらの表を拝見すると、SMAP以前に結成されたグループの中で、活動年数が10年を超えていたグループはほとんどなかったことがわかる。私は、その頃はSMAPがいる毎日が当たり前のように感じていたんだけれども、それがどんなに信じられないことで、どんなに前代未聞なことで、どんなに挑戦的なことだったのかっていうことを、最近になってようやく実感できるようになっていた。当時は小・中学生っていうこともあって、ことの重大さがよくわかってなかったのだ。

SMAP以降のグループは、「ずっとこのグループを存続させる」ことが「常識」になった。それぞれが単独活動を行い、ソロ歌手・ドラマ・舞台・バラエティなどなど多方面に活躍するようになった。けれど、コンサートを行う時には、メンバーは家に帰るように集まってくる。歌やダンスでファンのみんなを魅了する時、それは文字通りの「ホーム」である。何年たってもアイドル、アラフォーでもアイドル。こういう傾向を当たり前のように思っていたけれど、それは本当にここ15年くらいでSMAPが作り上げた新しい概念なんだよなぁ。

 

以前の多くのジャニーズグループは、メンバーが脱退した時点で解散を考えている場合が多い。SMAPも森くんという脱退メンバーがいたのに、でもそこで解散というところに至らせなかったものが何なのかは、未だにハッキリとは分からない。でも、昨年3月の「笑っていいとも!」の最終回での中居のスピーチに、そのヒントがあるような気がするのだ。

drifter-2181.hateblo.jp

やっぱり、バラエティって非常に残酷なものだなとも思います。
おかげさまで歌もやらさせてもらって、お芝居もやらさせてもらって、バラエティもやらさせてもらって、

歌の世界っていうのは、いずれライブとかやれば最終日があって、
ドラマもクランクアップがあって、映画もオールアップがあって、
始める時に、そこのゴールに向かって、それを糧にして進んでるんじゃないかなって思います。
でもバラエティは、終わらない事を目指して、進むジャンルなんじゃないかなと。
覚悟を持たないと、いけないジャンルなんじゃないかな。

(中略)

非常にやっぱり、バラエティの終わりは…寂しいですね。

他のジャンルは評判がよかろうが、悪かろうが、終わりがあるんですけど、

バラエティって…ゴールないところで、終わらなければならないので、
こんなに…残酷なことがあるのかなと、思います。

 

 この中居のスピーチを聞いたとき、私は衝撃を受けた。「バラエティ」という明るく楽しい陽の雰囲気にあふれた世界のことと、「残酷」という言葉が全く結び付かなかったのだ。そんな風に考えたことがなかった。そして中居は、ここではバラエティについて語っているけれども、この「バラエティ」という単語を「グループ」とか「SMAP」に置き換えても同じなのではないかと思うのだ。

グループで『終わらないことを目指す』というのは、過酷なことだ。常に進化し続けることを求められる。最高のコンサートが作れたと思っても、その翌年にはそれを上回ることが目標となる。いいものが出来なかった年は非難もあるだろうし、テレビに出る機会が少なくなったら「もう○○は落ち目だな」と厳しい言葉をぶつける人もいるだろう。

けれど同時に、やっぱり、夢があるなとも感じる。私は小さいころからSMAPが好きで、人間関係でつらくなった時とか、進路で悩んだ時とか、嫌なことがあった日とか、SMAPの曲を聞いてたくさんたくさん励まされてきた。自分の好きなアイドルが、ずっと活動し続けて、いつだって自分の人生の隣にいて、辛い時に勇気をくれること。そっと励ましてくれること。笑顔になれること。デビューっていうのは、それを約束してくれること、「終わらないことを目指す」のを誓ってくれるっていうことなのかなと思う。

 

冒頭の千賀の話に戻って考えてみる。SMAP以前だったら、5年と少しで解散してしまったグループも多くあった。もし今も同じくらいの活動期間が主流だったとしたら、「後ろの4人」は全然日の目を浴びないままとなってしまう。けれど今の時代はそうではない。「終わらないことを目指す」のが主流だ。だから、なかなかデビューできなかった日々も、デビューしても格差があって舞祭組として吹っ切ることすらできなかった日々も、全部、何年か先にさらに輝きを増すための糧となるといいですね。

そして、学生時代をほとんどSMAPに支えられて育ってきた頃の私のように、Kis-My-Ft2は今悩んでいる人達に勇気と希望を与え続けて、ずっと人生の隣にいてくれるような、そういうグループになるといいですね。そういう人が、もっと増えるといいですね。

 

デビューするまでも勝負だし、デビューしてからも勝負の連続だ。

過酷な道を、7人で支えあって、わちゃわちゃ笑顔で進んでいってください。

デビュー4周年、おめでとうございました。*5

 

 

 (参考にさせていただいたブログ様一覧)

「After SMAP ~SMAPがジャニーズを変えた3つのターニングポイント~」 - 小娘のつれづれ

 

ジャニーズアイドルの本から見る解散の歴史(前) - over and over

 

ジャニーズアイドルの本から見る解散の歴史(後) - over and over

 

「家」を失ったSMAPの来し方と行く末(「笑っていいとも!」最終回感想に代えて) - あいこそすべてセカンドエディション


 

 

POTATO(ポテト) 2015年 09 月号 [雑誌]
 

 

*1:いつもです

*2:実際今そういう状況になってしまっているグループもあるので本当に心が痛いです…

*3:なんでかというと、2012年8月にスマスマでやってたSMAP×キスマイの歌コラボは見た覚えがあるから

*4:バーターっていうか、担当の班的に共演できる先輩がSMAPしかいないからその組み合わせばかり見るというだけなんだけどね、ということを理解できたのはだいぶ後の話

*5:本当はこれを8/10にアップしようと思っていたのに全っ然終わらなかった…

FNSうたの夏祭り雑感 ―2分半でハートを射抜け―

先週の水曜日、7月29日。19時からテレビの前にスタンバイして、FNSうたの夏祭りの放送を楽しみに待っていた。最近の大型音楽番組は、放送前に1時間ごとのおおまかなタイムテーブルが出ることが多いが、今回は全くそれがなかった。

そのため、放送開始から5曲目という早い段階で舞祭組が登場した時はびっくりして、でもその後大いに沸いた。生のオーケストラだったので音がすごく綺麗で、それだけで贅沢な気持ちに。横尾師匠のソロパートがカットされていたのは残念だったけども、4人ともパワフルで堂々としたパフォーマンス。特にサビの宮田が、音程も声量も安定していてとても良かった。最後のお辞儀まできっちり揃っていて、さすがだなぁ、彼ららしいなぁと嬉しくなった。

しかしここから、キスマイ待ちをするも全然出てこない。20時~21時の間は裏番組*1に出ていたからその時間帯が空くのは仕方がないが、それが終わっても全然出てこない。フジテレビのスマホサイトでは、セットリストはないものの、次に歌うアーティスト名と曲名は表示されるため、私はテレビをながら見しつつ、それを頻繁に更新していた。やっとキスマイの出番が来たのは、番組も終盤の22時35分くらい。しかもこんなに待ったのに、スマホサイトを見たら、彼らがこれから歌う曲は『Kiss魂』と書いてあるではないか。Kiss魂が嫌いなわけではないけど、色々な音楽番組でもうたくさん披露してきたし…それならアルバムから『Brand New World』をやってほしかったよ……と思ってしまったのが正直なところ。

でも、この日のKiss魂はすごかった。この曲で今までに見たことがないくらいの気迫だった。まず、冒頭の藤ヶ谷と北山のラップから全然違う。トーンが高い高い。何回も聴いてきたけどこんなに高い時はなかった。そして特に北山のビジュアルが尋常じゃないくらいカッコイイ。少し伸びて重めの前髪が目元を隠している様子は、一瞬ゲゲゲの鬼太郎かなと思ってしまったけども(ごめんなさい)、そんな私の雑念を吹き飛ばす色っぽさ。普段バラエティ番組で見せてくれる、社交的で明るく可愛い「みったん」のイメージとは全く違う、暗くて退廃的な大人の色気。この人は曲中で、表情で、『演じる』ことが出来る人なのだなぁと改めて実感した。

もちろん北山だけじゃなく、全員ダンスもキレキレで、表情も引きしまっていて、当たり前だけどキスブサでポンコツっぷりを見せている7人とは別人のようだった。テレビの画面を通して、ここまで気合と気迫が伝わってくるパフォーマンスを見れて嬉しい。とてもビリビリ来て、震えるほど感動した。

 

……と、ここまでが、シンプルにパフォーマンスに関する感想です。

大変申し訳ないのですが、以下はちょっと違う話を混ぜて行きたいと思います。もしここまで読んで下さった方の中で、『派閥』というワードを見るだけでも嫌だったりとか、想像やうわさ話レベルのことを読むのが嫌だという方は、この先に進まれない方がよいかもしれません。大変申し訳ありません。

もちろん私自身も、この先はあくまでも自分の想像が多分に含まれている話を書くということを、自戒しながら書きたいと思います。

 

 

 

さて、私は放送後にこういうことを書いた。

あまりにもキスマイが出ない空白の時間が長かったので、私は、彼らは途中で抜けてどこかで雑誌の取材のような別のお仕事をしていたのではないかと思っていた。けれど、どうやらそうではなく、観覧席にいた時間帯もそこそこあったらしい。それなら、ぜひもう一曲やってほしかったし、あるいは他のアーティストの方とコラボやってほしかったし*2、せめて観覧席にいる様子をちょっとでもいいから映してほしかった。でもそんな場面は全然なかった。

 

それで、今日たまたまTwitterをあっちこっち見ていたら、こんなまとめを発見してしまった。

【草彅FNS司会降板でジャニーズの闇が明らかに】メリー&ジュリーとは?【派閥じゃなかった独裁政権】 - NAVER まとめ

 

全部読んでると長いので簡単にまとめると、今回のFNSの中で、V6のデビュー20周年のお祝いということで、舞台上にV6・TOKIO・嵐が揃った場面があったけれども、その場にいわゆる飯島班は呼ばれなかった。まぁ、キスマイとセクゾは歴が離れているし、同じくジュリー班の関ジャニ、Hey!Say!JUMPもいなかったので理解できる。たださすがに、この場にSMAPがいないのはおかしい。ジュリーさんが幅を利かせているんではないか……という感じ。

それに、前回のFNSまではつよぽんが司会で、SMAPとしても色々なコラボに出演して盛り上げていたのに、今回はバンバカと華麗なる逆襲の2曲だけというのも、「今まで貢献してきたSMAPがないがしろにされている」と思ってしまう一因になったのだろう。

もちろん上記のNAVERまとめに書かれていることは、想像や憶測も多いし、全てが真実だとはいわない。特に、結局のところメリー&ジュリー*3が、SMAPや飯島さんのことをどう思っているかが、こちらにわかるわけなどない。今回のFNSも、飯島班の扱いが少ないんじゃないかと言ったって、全体的にジャニーズのグループが増えてるのだから、出演時間が以前に比べて少なくなるのは仕方がないことだ。派閥どうこうが、一切なかったとしてもね。

でも、まぁ、全てが真実ではないにしても、何となくジュリーさん側が優勢な雰囲気があるんだろうなというのは伝わってくるし、そしておそらくキスマイもそれを感じているだろうし。きっと彼らはこのままじゃ、今後どんなに頑張っても冷遇される。事務所のエライ人達は彼らの努力を認めてくれないかもしれない、SMAPがそうだったように。けれど、だからこそ、Kiss魂のあの力の入れようは、そういう諸々を全てパフォーマンスで跳ね返す決意を表現してくれているように感じられて、とても嬉しくなったのですよねぇ。

 

 

 

私は小さいころからSMAPが好きだった。好きになった経緯まで書いているととんでもなく長くなるから今回は省くけども、途中ちょっと間が空いた時期もありつつ、13年ぐらいゆるゆるとお茶の間ファンをしていた。

そんな折、 2012年くらいから、SMAPと共演が多い後輩グループのことをよく目にするようになった。まず最初はグループ名が読めなかった。彼らはキスマイフットツーと言うらしい。SMAPは好きだけど、ジャニーズJr.のことは全く分からなかった私は、突然現れたように感じられたその存在に、正直、とっても戸惑った。例えるなら、私はS君とよく遊んでいたのに、ある日突然K君という全然知らない人がやってきて、担任の先生*4に『これからK君とも仲良くやってくれ。よろしくな』と言われたような気持ちになっていたのだ。S君の大切な後輩ということはわかるけど、なぜ私がS君と楽しく遊んでいたところに急にやってきた人を、好きにならなきゃいけないのだ。別に無理してK君と仲良くしなくてもいいし、気に入らないなら見なければいい。それはわかっているが、S君見てるとK君も一緒にいることがどんどん多くなってくるんだもん、正直不満が募るよねって感じ。……だいぶマイルドに書いていますが、本当はもうちょっとドロドロした想いがありました(笑)

でもそこから結局、色々なきっかけがあってキスマイのことも大好きになって*5。そうすると、彼らがこれから辿るであろう道のりを思うと本当に心が痛いのだ。SMAPがメリーさんに「だってSMAPは踊れないじゃない」「悪いけど私、飯島に踊りを踊れる子を任せられないもの」と言われたことからわかるように、メリーさんの中では飯島班は「うちの子」だと思われてない*6。そもそも私は、ほぼSMAP専属みたいになっていた飯島さんが、一体どういう経緯でキスマイやセクゾなどを担当するようになったのかよくわかってない。だけど、こんな感じで、ずっと飯島班が傍流のように扱われるなら、彼らの立場も活躍の場も限られてくるんじゃないかと思うし。一体いつまで、この派閥超え実質共演NG状態が続くんだろう。毎年、来年は少しは解消されるんじゃないかとわずかな望みを託しつつ、結局年々ひどくなっている気がする。

  

派閥はやっぱりよろしくないと思う。大事な時期にSMAP以外の先輩とほとんど共演できないのはやはりデメリットの方が大きいと思うし、ファンの立場からしてもかつての私のように、『SMAPのバーター』というだけで嫌悪感をもってしまう人だってきっとたくさんいる。そういう人達を生んでいる事は、結果的にアイドル&事務所においても、そしてファン側においても、双方にとって重大な機会損失なのだ、もったいない。ただ、それをいくら言っても、すぐに何かが変わるわけではない。今までも散々言われてきているからねぇ。

結局、本人達にできることは、例え出演時間が短くなっても、様々な事情で扱われ方が小さくなったとしても、その場その場でいいパフォーマンスをして、そういう周囲の環境を吹っ飛ばして、見ている人の心を掴むしかないのかなと思う。有無を言わせぬ活躍をして、自分達で道を切り開いていくしかないのかなと思う。

それを体現してくれたことが嬉しかった。舞祭組の出演もあったけれど、Kis-My-Ft2として出演できたのは1曲だけだ。でもその2分半、たった2分半の短い時間で、あれだけのパフォーマンスをしたら、きっとハートを射抜かれた人はたくさんいるはずだ。派閥について考え始めたら本当に鬱になるけれど、私がそうやっていちいち鬱になってる間に、キスマイは鬱になる時間ももったいないとばかりに次への準備を始めるんだろうな。そういう人達だから、こんな状況でももっと見たい、ついて行きたいと思うのだよ。

 

いつか数年後に、数ヵ月後に、あるいはもっと近い未来に、

『私は、FNSうたの夏祭りでのKiss魂を見てキスマイに堕ちました』

…っていう方のブログを読むのを、楽しみにしてる。

 

*1:BSプレミアム ザ少年倶楽部サマースペシャ

*2:とはいえ、そもそも今回はジャニーズ勢で他アーティストとコラボしたグループはなかったけれども

*3:コンビ名みたいになっちゃった

*4:名前はジャニー

*5:超省いてすみません。いつかここもちゃんと書きたいなぁ

*6:http://www.johnnys-watcher.net/article/412747661.html

『メンバー』という存在。

『メンバー』という存在。

アイドルグループにとっては当たり前だけど、一般人には一生、得る機会のない存在。

 

約2週間前の7/10、鈴木おさむさんMCのラジオ『よんぱち』に、北山と宮田がゲストで出演した回のこと。最新アルバム『KIS-MY-WORLD』についての話題になり、このアルバムをひっさげてドームツアーをすることが告知された。その後、リスナーの方からの「コンサートの準備は進んでいますか?今回の見どころを、軽くでいいので教えてください」というメールが紹介されると、北山と宮田はこんな話を始めた。

鈴木:言える範囲で、どんな感じになりそうですか?

北山:あのー…まぁ、今打ち合わせしてるんですけども、ちょうど昨日、何回か打ち合わせしたやつを、引っくり返そうっていう話になって。ゼロに昨日戻りました。アッアッアッ(笑ってる)

(アシスタントの三浦茉莉さんが「えーっ!?」と驚く。)

北山:俺、結構好きで。ゼロからもう一回やるか!みたいな。

宮田:打ち合わせ終わったくらいに、メンバーみんなでやってるグループメールみたいなのがあるんですけど、そこに北山さんから『ちょっと一回ゼロに戻すわ』って連絡が来まして。

   『(それを見て自分は)お、おぉ…マジか…』って。

北山:アッアッアッ(笑ってる)

 

私はこの話を聞いたとき、上手く言えないけれど、なんだかすごくドキドキしてしまった。胸が高鳴った。その理由は多分、メンバー同士がグループメール*1で繋がっていて、そこで仕事のやりとりをしているという、そのプライベートと仕事の境目が曖昧な感じに萌えてしまったからだと思う。散々顔を突き合わせて打ち合わせをしているだろうに、それが終わってからもまだLINEで話し合いを続ける感じ。

20代男子7人のKis-My-Ft2は、年齢だけ見たら普通の若者。でも彼らは普通の若者ではない。『世の普通の若者』と同じようにLINEでやりとりしながら、『世の普通の若者』が出来ない、5万人を沸かせるドーム公演の話をしている。

そこがなんだか、グッとくる。

加えて、私が過剰に反応してしまった話を、宮田は何ともなさそうに喋っていたのがとても良い。メンバーの暴露をするわけでもない、特別なこととも思っていない。本人達は、ただ日常のひとコマの中にあった話を「こんな面白いことありましたよ」って提示してくれただけなのに、その「普通」の感じが、特別に思えるのだ。特に宮田は、玉森とのラブラブエピソードをよく話していて、まあそれも好きなんだけど(笑)、それよりもこういう話の方が何だかドキドキする。

 

もう一つ。こちらは、7/15、舞祭組4人のキスマイRadio。冒頭トークでは、学生時代の夏休みの思い出がテーマだった。宮田は、小6でジャニーズに入るまでは、夏休み中にRPGのゲームを1本クリアするというのが恒例だったと話した。けれど、ジャニーズJr.になってからは様々なイベントがあったため、夏休みの過ごし方が変わったと話す。その後。

宮田:でも実際、夏休みの思い出ってさぁ、オレ結構、キスマイでいる思い出が一番あるかもしれない。

全員:あるある!

ニカ:オレ楽しかったのは、コンサートの合間で、みんなでテニスとかやったじゃん。

全員:あー、やったねー!!

宮田:テニス?バドミントン

千賀バドミントン

ニカバドミントンか。あれは楽しかった。

宮田:あぁー、あったね!面白かった。

ニカ:やっぱ、友達といるの楽しいわ。……まぁ、友達っていうかメンバーなんだけどね。

千賀:すっげー焼けたよね。

宮田:いやー日焼けしたわ。

千賀:1公演目、別に焼けてないのに、2公演目になった瞬間にちょっと皮がむけてるみたいな(笑)

 

もう私は、このラジオを聴きながら萌え転がっていた。「萌え転がっていた」というのは別に比喩ではなくて、本当に、ラジオを聴いている最中に「かわいい…かわいい…可愛すぎて無理…」などと言いながらベッドの上をごろごろ転がっていた。普通に変な人である。

まぁ、みんな若くしてジャニーズに入っているから、夏休みの思い出って言っても学校の友達と遊んだり、学校で何かしたような思い出はあまりないんだろう。けれどもそれをマイナスに捉えるのではなく、「キスマイでいる思い出が一番多い」って言って、あれは楽しかった楽しかったってみんなで言い合うって、なんて可愛いんだ。しかもバドミントンの話を、全員当たり前のように覚えているのがすごく素敵だ。

 

この時に気になったのは、二階堂の『まぁ、友達っていうか、メンバーなんだけどね』という一言。

友達のように遊ぶけれども、仲良く一緒に騒いで楽しむだけではない。

仕事を一緒にするのは事実だけども、「仕事上のパートナー」と割り切れるほどドライでもない。

その微妙な意味範囲を表す言葉が、『メンバー』なのだろう。

複雑なバランスの上に成り立っているその存在の概念は、きっと一般人が完全に理解するのは難しい。けれども、一般人が手にすることのできないそのメンバーという存在によって、アイドルは存在意義を吹きこまれ、頑張る理由が生まれ、心の支えができるのではないかと思う。常に人前に立ち続け、評価されたり批判されたり、自由を制限されたり、プレッシャーに晒される。メンバーという存在は、一般人が持っている色々な自由を失ったことと引き換えに、手にすることができるものなのかもしれない。

 

最新の二階堂のキスログ。

 『ただの仲良しグループじゃないから、ピリつく空気にもなるけどそれも大事だね。いい物を作ろうとしたらそれなりの時間もかかるし、焦らず作っていくので楽しみに待っていてください^^』

 

8月号のポ誌の横尾。

7人で最高のものをつくるという意識があるから、もう敬語なんか必要ないし、ケンカをしようがそれは問題じゃない。みんなで、目標にガムシャラに向かっていくだけ。 

 

10代から20代への、一番繊細な時期を10年も一緒に過ごしてきた7人。表立って語られてきたことも、明かされていないことも、きっと色々あっただろう。それでもそれらを全て乗り越えて、今では「いいものを作ろう」という明確な目標に向かって、例え衝突しても良いと思えていることがすごいなあと思う。それを乗り越えられるという確信があって、メンバーのこともグループのことも、信じているってことだと思うから。

 

KISS&PEACEのこの一節が大好きだ。

『君に伝えたいよ まだ明日はわからないけど 僕ならここにいる』

何があっても、どんなに世の中が変化しても、僕らは変わらず皆の前に立ち続ける。そう歌ってくれているような気がして。

彼らのこの先の10年が、さらにさらに輝くものでありますように。そして私が彼らを好きだという思いが、彼らをさらに輝かせてくれるささやかな一助になれば嬉しいな。

これからもずっと7人で。

 

Kis-My-Ft2、結成10周年おめでとうございます。

 

*1:と言っているけれど多分LINE

私はなぜ「ドキドキでYEEEAAAHHH!!」が大好きなのかをひたすら語ります

Kis-My-Ft2の最新アルバム、KIS-MY-WORLD。発売されたのは今月1日だが、avexのサイトでは発売前に全曲試聴できるというありがたいサービスがあり、試聴が解禁されたその日に、私は全ての曲を聴いてみた。短い時間だったけども、それぞれの雰囲気が伝わってきて、否応なしにアルバムへの期待値が高まった。

DISC | Kis-My-Ft2 Official Website

ユニット曲は各々の個性が出ていて、そして見事にコンビごとのカラーが分かれており、とても楽しいし興味深かった。だからそれぞれに良さがあって、どれが一番いいかは決められない。そんな中、7人で歌っている曲で一番惹かれたのは、通常盤にしか収録されていない、「ドキドキでYEEEAAAHHH!!」という曲だった。

私は試聴ボタンを何度も何度もクリックし、たった30秒ほどしかない数フレーズをひたすら聴きまくった。この曲の、キラキラしているのにどこか切なさを感じさせられるところに、完全に心をわしづかみにされてしまったのだ。

ここでハッと我に返って現実に直面する。私はこの時、今回のアルバムは初回限定生産盤Aしか買わないつもりだった。けど、初回Aにはこの曲は収録されていない。

もし、シングルのカップリング曲だったら、迷わず購入を決めていたと思うけれど、今回はアルバムだ。3000円近い値段を出してもう一枚買うのか…。と、悩んだけれど、結局通常盤も買ってしまった。そして「ドキドキでYEEEAAAHHH!!」を実際フルで聴いてみると、試聴した時よりもさらにさらに好きになった。さっき、『試聴はありがたいサービス』って書いたけども、「こうやって購買意欲を高められるのだな…ま、負けた……」という気持ちに。ただ、ちょっと高くついたけど本当に買ってよかった。

なので今回は、私はなぜこんなにこの曲が好きなのかをひたすら書きます。前提として、まだこのアルバムを手にとっていない方にも伝わるように書きたいなと思ったので、キスマイ担の皆様には説明過剰な部分もあるのですがご了承ください。加えて、私が好き勝手に書いているだけなので、私しか楽しくないかもしれません。そこはすみません。なお、以下の文章には私の勝手な解釈が多々入り込んでいます。また、歌割りは何度も聴いて多分この人だなと予想して書いているのですが、間違っていたら本当に本当にごめんなさいお許しください。

……と、先にたくさん言い訳をしてしまいましたが、そろそろ始めます(笑)

 

まずアルバム内での並びを確認しておくと、この曲は「KISS&PEACE」という曲の次となる。「KISS&PEACE」は、通常盤以外の全形態*1では最後の曲となるため、アルバムの締めにふさわしいゆったりとした曲調。おそらくツアーのラストに歌うことを想定されているであろう、愛と世界平和をテーマに歌っている壮大なスケールのものである。それでは歌詞を見てみましょう。

 KISS & PEACE - Kis-My-Ft2 - 歌詞 : 歌ネット

歌詞だけを見ていると、ちょっとストレートすぎてくすぐったくなるところもある。けれど、これをメロディに載せているのを聴くと、意外と聴きやすくてすっと入ってくるから不思議。曲調もバラードに寄りすぎず、ある程度テンポが速いというのもまた聴きやすい一因なのだろう。これはこれでとてもいい曲だと思います。

では、通常盤で「KISS&PEACE」の直後になる、「ドキドキでYEEEAAAHHH!!」の歌詞を見てみましょう。

ドキドキでYEEEAAAHHH!! - Kis-My-Ft2 - 歌詞 : 歌ネット

…………。

皆様、どう思われたでしょうか。私は通常盤の歌詞カードで初見だったのですが、これを見た瞬間にずっこけました。何よりもまず「(アッソレ)」でずっこけました。そして、「KISS&PEACE」との落差!丁寧に一言ひとことのフレーズに意味を持たせていたのに対して、『ドキドキドキドキドキ』で一行埋めてしまう贅沢さ。歌詞カードを引きで見た時の、視覚的印象が全然違う。語弊を恐れずに言わせてもらうと、「ドキドキでYEEEAAAHHH!!」は、本当になんというか、中身がなくて頭悪そうな歌詞というか…(笑)。

あっ、待って、バカにしてるわけじゃないんです、本当にこの曲が大好きなんです、褒めてるんです(笑)。その、「KISS&PEACE」とは全く違って、一見意味とか、テーマとか、伝えたいこととかがなさそうなのが、この曲の良さなのではないかと思ったのです。

 

冒頭は北山から始まる。

北山:超でっかい夢 君と見たいから

   ここは一つ魅せちゃいましょか

   男ってやつを 君に

まず歌い出しの「超でっかい夢」というワードからしてチャラい。頭が悪そう*2。このほんの1曲前に

みんなが持ってる愛を足したら それはどこまで大きくなるんだろう

と歌っていた人と同じ人だなんて(笑)。でも、それが北山の良さでもあるなと思うんだよね。柔らかい声で愛を歌っているのも、勢いよくチャラい歌詞を歌っているのも、どっちも違和感無いし、どっちも嘘ついていない本当の北山だと感じられるのがすごいところだよね。

 

そしてその後、男ってやつを君に魅せたいと語る。北山は以前キスログ*3で、「そろそろLIVEがやりたい、キスマイBUSAIKU!?ばかり見ている皆さん、キスマイはかっこいいんだぞってところを見せたい」っていう主旨のことを書いていたことがあって、まさしくそういう彼の気持ちを表現している箇所ではないかなと思った。

その後藤ヶ谷のソロ、そして舞祭組4人の歌割へと続く。このあたりからもう意味がよくわからなくなってくる。

 千賀:ハッタリ言っちゃって

二階堂: スタート切りゃリズムに乗っかって

 宮田: キミがいなきゃ楽しくないんだって

 横尾: そんなことにハッと気づいちゃって

なんで? なんで?…なんで? なんで?…

なんで? なんで?…やっぱそうじゃん!!!

愛はいつも シュッビドゥバ ドゥドゥビドゥバ

Uh YEEEAAAHHH!!

まず、何が「やっぱそうじゃん!」なのかもよくわかんないし、そのアンサーになるだろう箇所の「愛はいつもシュッビドゥバ ドゥドゥビドゥバ」って、愛は結局何なのか全然わかんない。全然処理しきれないままサビへ向かう。

ドキドキドキドキドキ 笑顔 僕から君へと届けるよ

ドキドキドキドキドキ これが ワンダ×4 ワンダフルLOVE

愛は結局何だったのかわからないままだ。でも、彼らは確かなことを提示してくれた。それは『笑顔僕から君へと届けるよ』ということ。アイドルだったら当たり前のことかもしれない、けれどこの当たり前のことを半永久的に続けるのは、本当に大変なことだ。それを承知の上で、彼らはこのシンプルなことを揺るぎなく誓ってくれたのだ。最高だ。

 

1番はとりあえず、「男らしいカッコイイキスマイを見せちゃうよ」ということと、「君に笑顔届けるよ」ということを伝えたいということは理解した。この辺りはなんだかキラキラしていて可愛らしい。でも、2番から少し様相が変わってくる。冒頭でいきなり、横尾千賀コンビはこう歌う。

最高峰はこの先にあるらしい

ここでの突然の攻めた歌詞。びっくりして、そして感動して、ちょっと涙が滲んでしまった。デビューから4年、ひたすら走り続け、様々な記録を打ち立て、たくさんのジャニオタ新規を獲得し、カッコ悪いことにも挑戦してバンバン知名度をあげてきたKis-My-Ft2。けれど、彼らは現状に満足せず、どこまでも最高峰を目指すのですね。ここの歌割を、泣き虫だけど強気で勝気で、自分の可能性もメンバーの可能性も沢山信じている、そんな千賀さんにくださって本当にありがとうございます。すごく嬉しいです。

そんなふうに考えると、1番ではよくわかんなかったここの歌詞の意味も少し見えてくる気がする。

 千賀:どっちに行ったって

二階堂: スキップすりゃ楽しくなっちゃって

 宮田: 君がいれば何でもハッピーで

 横尾: あの手この手全部使っちゃって

北山?: (えっ?いいの?)

キスブサだって、テレ朝深夜枠だって、舞祭組だって、「こんなカッコ悪いことやりたくない」とか「こんな過酷なことやっちゃうの?」って思いを持つメンバーが一人でもいたら成り立たない。限界を決めずに、あの手この手全部使っちゃって、色々なことに挑戦するからこその面白さ。それが成功するか失敗するかは、あまり問題じゃないのだ。『どっちに行ったって』『君がいれば何でもハッピーで』なのだから。こうして、全体的には軽くてチャラい歌詞なのに、彼らの熱意と野心が見え隠れするような部分があるのがとても好きです。

 

……と、まぁ、色々と勝手な解釈を繰り広げて、長々と書いてしまいました。一見すると、歌詞も曲調もただのノリだけのように感じられる。けれど、それがまたいいんだよな。無責任なことを言うなというくらい底抜けに明るい歌詞だけど、「キスマイが歌っている」という事実を絡めると印象が変わってくる。彼らが歌うからこその良さが滲み出るように思うのだ。人生は楽しいだけじゃないってことを、自らの経験で痛いほど知っている人達。だからこそ、その無責任だと思えるほどの言葉が信じられるんだよなぁ。

そして、ここまで歌詞のことばかり書いてきてしまいましたが、もちろん音楽もとってもいい。キラキラしているのに、どこか懐かしくて、どこか切なさを感じさせられるようなサウンド。実は、私のアカウントの "mgmcnlife" というのは、去年発売のSMAPアルバム"Mr.S"に収録されている「無我夢中なLIFE」という曲からとっています。この曲も、爽やかでキラキラなのにどこか切なくて。ドキドキでYEAHを聴いた時に、同じような気持ちになったのです。

無我夢中なLIFE - SMAP - 歌詞 : 歌ネット

改めて歌詞を見てみると、めっちゃ「うぉううぉう」言ってるし、なんか似ているところがあるかもしれない(笑)。

この曲の『根拠なんて無い 無我夢中なLIFE』ってフレーズが大好きで。 

 

そうそう、根拠なんてなくっていいから、

アイドルには底抜けに明るい曲を歌っていてほしい。

それが明日からも頑張れる理由になる。

 

キラキラしててみんなで盛り上がれるのに、祭りが終わる直前の花火のような、この曲が終わったら夢から醒めてしまうような。そんな、ちょっと痛さを感じる切なさがクセになる。この夏の個人的ヘビーローテーションソングになりそうです。

 

 

KIS-MY-WORLD(通常盤)

KIS-MY-WORLD(通常盤)

 

 

 

Mr.S(通常盤)

Mr.S(通常盤)

 

 

(いわゆる「多種売り」についての私の考えはこちら…)

 

mgmcnlife.hatenablog.com

 

*1:初回A・初回B・セブン盤・キスショ盤

*2:何度も言いますが褒めています

*3:15/5/29